今年5月、発表会で新型エクスペリアをアピールするソニーの大澤斉氏 Photo:kyodonews
ソニーグループのスマートフォン(スマホ)事業は、今では注力分野ではないものの、ハイエンドを売りにする戦略で新製品を出し続けている。だが世界シェアでは、米アップルなど競合に大きく劣後しており、投資家からは「撤退しないのか」といった声がしばしば上がっているのが実情だ。実は、ソニーがスマホ事業を手放さないのには明確な理由がある。特集『ソニー 新・神話の真贋』の#10では、ソニーのモバイル事業が凋落していった過程を詳らかにするとともに、業界内でのプレゼンスが希薄化した今でも撤退しない理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
ソニーのスマホはハイエンド重視
エクスペリア新製品は23万円超!
今年に入り、テレビ事業の事実上の売却を決めたソニーグループには、他にも撤退が取り沙汰されている製品がある。その代表格がスマートフォン(スマホ)だ。
かつてモバイル事業は、テレビやパソコンに並ぶソニーの主力分野の一つだった。平井一夫社長時代の2013年には、韓国サムスン電子、米アップルに次ぐ世界3位を目標に掲げ、スマホ事業を強化する姿勢を鮮明にしていた。
だが、グループのエンタメ企業化とエレクトロニクス部門の存在感喪失に伴い、モバイルは成長事業のポジションから脱落していく。
それでも、ソニーはハイエンドに注力することでスマホ事業を存続させてきた。今年6月に発売された旗艦商品「Xperia(エクスペリア)1 VIII」は、撮影時にAI(人工知能)が最適な色合いや描写表現を提案するなど、カメラ機能を強化したハイスペックモデルだ。
販売価格はSIMフリーモデルで23万5400円からと、かなり強気な値段を設定している。スマホの販売に携わる大手キャリア関係者は、「日常生活で時々カメラを使う程度であれば、エクスペリアとスペックが近い15万円程度の(サムスン製の)ギャラクシーで十分。撮影にこだわるユーザーや、スマホの機能を最大限引き出して使い込みたい人にはエクスペリアの上位モデルがお勧めだ」と話す。
ターゲット層を絞り込んできたソニーのスマホは、次ページの図で見るようにアップルなど競合に比べて存在感が相当低下してしまっている。投資家から「撤退しないのか」といった声が上がっているのが実情だ。
実は、ソニーがスマホ事業を手放さないのには、れっきとした理由がある。モバイル単体の収益性が低くても、グループ全体の成長を考えると、同事業を残しておくメリットが大きいのだ。
次ページでは、ソニーのモバイル事業が凋落していった過程を詳らかにするとともに、業界内でのプレゼンスが希薄化した今でも撤退しない理由を明らかにする。







