精神科医も「見た目」から多くの情報を読みとっている
実は、私たち精神科医にとっても「見た目」は非常に重要な情報源です。
精神科の診察では、患者さんの話を聞いて診断すると思われがちですが、一番大事なのは「観察」です。身だしなみや、どこか奇妙な感じがしないかといった「違和感」を注意深く読みとっています。カルテの情報や問診の内容に加え、見た目から推察される人となりや背景を総合して診断を行っているのです。
ぱっと見て「感じがいいな」と思う人は、内面からにじみ出るものや、きちんとした生活基盤が見た目に表れています。これは医師に限らず、誰もが無意識のうちに相手の見た目から情報を読みとり、「この人は近づきやすい人か、敬遠したほうがいい人か」を判断しているのだと思います。
見た目は「後天的な努力と学習」で変えられる
私自身にも、こんな経験があります。高校時代までは運動もせずぽっちゃりしていて、全く似合わない眼鏡をかけ、今では“黒歴史”と呼べるような勘違いした服を着ていました。当時は周りから引かれているのも分かり、全く自信がありませんでした。
しかし、大学に入って暇な時間にダイエットを始めると、体重が15kgほど落ちて、筋トレが趣味になりました。同時に、「人に不快感を与えない服は、お金をかけなくても無難にまとめられる」ということも学習しました。すると、若い頃よりも周囲の反応が格段に良くなったのです。
この時、「人はもともとの要素だけで評価しているわけではない。後からなんとでもなるのだ」と実感しました。生まれつきの顔立ちや年齢といった変えられない要素を悲観するのではなく、学習と工夫によって「相手に嫌な思いをさせない見た目」を保つことは誰にでも可能なのです。
見た目は「心身のバロメーター」。自分を責めすぎないで
ルッキズムに対する批判はありますが、化粧や身だしなみなどの工夫次第で、人の雰囲気はいくらでも変えられます。生まれつきの顔立ちが占める要素は、皆さんが思っている以上に少ないのです。
ただ、一つだけお伝えしたいのは、本当に体調が悪い時や心身の状況が良くない時は、どうしても見た目が崩れてしまうということです。それは誰でも同じです。
私自身も、うつ病だった時期は顔がむくんだり太ったりして、身だしなみにも気を配れなくなり、鏡を見るのも嫌になることがありました。しかし、そうした見た目の崩れは、元気になれば自然と改善されていきます。
ですから、生まれつきの要素や、一時的な体調不良による見た目の変化だけで、過剰に自己評価を下げる必要は全くないのだと覚えておいてください。




