構造を変えれば、人は動きます。たとえば――

(1)みんなが同じゴール(山頂)を思い浮かべられる“景色(山)”を描きます
(2)その山への登り方を“4つの小さな階段”(共感→興味→納得→継続)に分け、今日登る段を1つ決めます
(3)「どのくらい進めたか」を1つの数字で確かめます

 これだけで、会議は「頑張ろう!」という掛け声から「誰がいつ何をする」というアクションベースに変わります。

 重要なのは、完璧さではなく、「みんなが見える形にする」ことです。

 あなたがやるべきことは、ゴールまでの道筋を短くして、はっきり見えるように整えることです。

 私は比較的若いときに管理職になったこともあり、「新しい取り組みの提案をした際に、最初のうちは抵抗される」ということが少なからずありました。

 抵抗する人は、最初の一歩が見えない(わからない)人です。

 しかし、そんな構造を変えることで、議論は「やる/やらない」「できる/できない」ではなく、「どの段から登るか」に変わり、空気が柔らかくなり前へ進めるようになります。

 若手のみなさんでも十分に場を動かせます。

 小さく始め、学びを次週へ次週へと引き渡す。この習慣が組織の推進力になります。

抽象的すぎるゴール設定では
そもそも動くことができない

 登るべき山のゴールは、1枚の表紙のスライドに一文で表現します。

 形式をいつも固定すると迷いません。

 <誰に/どこで/いつまでに/何をどれだけ>が基本です。

 たとえば、ナチュラルチーズでいうと「週末にワインを楽しむ購入層に/◯◯スーパーのチーズ売り場で/5月末までに/チーズの品揃えを2品増やして、1週間の売上個数をこれまでの平均より15%増やす」という簡単な一文で結構です。

 むしろ、このくらいで十分です。

 私の経験では、「今月の売上は必達!死守!」という昔の軍隊みたいなことを言う上司もいましたが、そんなゴールでは誰も動きません。動けません。

 主語をお客様にするのは、社内の主観を外し、現場の行動をお客様基準にそろえるためです。「売上最大化」のようなスローガンは立派ですが、動き(アクション)には変換できません。

「+15%」のように幅を狭めると、必要な手数やアクションが検討可能になります。

 期日を入れるのは、優先順位を固めるためです。人は締め切りがなければ後回しにします。

 会議では冒頭にその一文を声に出して読み、そして、議事録の表紙に固定します。途中で言い換えません。旗を動かすと隊列が乱れます。

 会議中に反論が出ても、個別の成否で争わず、「この旗に向けて、議論の登山道は合っているか」というように議論の本筋に戻すことができます。

 旗は、勇気や根性ではなく“正しい設計”でつくって立てる――これがコツです。