経営の中枢 CFOに聞く!Photo by Yuiki Okusa

過去最高の売上高と大幅増益を達成し、中期計経営計画で定めた目標の前倒し達成も見込むすかいらーくホールディングス(HD)。2026年3月にはしんぱち食堂をEBITDA倍率(EV/EBITDA)で30倍の約100億円で買収し、市場を驚かせた。インフレで食材や人件費などあらゆるコストが上昇する厳しい事業環境が続く中で、強気とも取れるM&A戦略を進めながらどのように業績を伸ばしていくのか。長期連載『経営の中枢 CFOに聞く!』の本稿では、すかいらーくHDでCFO(最高財務責任者)を務める北義昭氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)

25年度は過去最高の売上高を更新
1年前倒しで中計目標を達成予定

――すかいらーくホールディングス(HD)の2025年度(25年12月期)決算では、売上収益4577億9400万円で過去最高、営業利益も前年比23.9%増と大幅な増益を達成しました。26年度第1四半期も売上収益が前年同期比8.6%増、営業利益が同17.0%増と好調を維持しています。CFOとして、現状をどのように分析していますか。

 業績は非常に順調です。前期から今期第1四半期にかけて、安定的に成長していることが明確に読み取れる業績だと捉えています。

――すかいらーくHDは、主力のガストやバーミヤンなど、複数の業態を持っています。特に良かった業態とその理由を教えてください。

 しゃぶしゃぶ食べ放題のしゃぶ葉や、24年10月に買収した資さんうどんの業績が顕著に伸びています。しゃぶ葉はまだ店舗数が少なく(331店舗、26年6月時点)、ニーズに対して供給が足りていないため、人口密集地を中心に積極的な新規出店を進めています。既存店売上高も25年12月期は前年比107.5%と非常に高い水準を維持しています。

――25年度の通期決算会見では、中期経営計画で定めた目標(売上収益4600億円、事業利益340億円、営業利益320億円)を全て1年前倒しで達成する見通しにも言及しました。前倒し達成の要因は。

 要因は大きく三つあります。一つ目は、中計のコンセプトとして掲げている店舗中心経営です。店舗中心経営には、コストを削減して利益を伸ばすという発想ではなく、ピークタイムに積極的に人員を配置するという発想があります。通常は人員をどのように削減するかというやり方だと思いますが、逆に既存店に人員を増やす投資を選択しています。これが想定以上に機能し、既存店の売上高が着実に伸びています。

 二つ目は、M&A投資の成功による上乗せ効果、そして三つ目は新店出店、IT、およびセントラルキッチンの機能拡充といった工場への成長投資で得られた効果が全て重なり合ったことです。

――26年3月に発表された「しんぱち食堂」の買収額は約100億円で、EBITDA倍率(EV/EBITDA。買収コストを本業の収益力〈利払い前・税引き前・減価償却前利益〉で、何年で回収できるかを示す指標)は30倍程度。単純計算で投資回収に30年かかることになります。高値つかみと評されましたがどう考えていますか。

ここ数年間の積極的なM&Aで、外食業界内の話題の中心となることが多いすかいらーくHD。北CFO はEBITDA倍率30倍の価格で買収したしんぱち食堂について、「買収資金は5年で回収できる」と豪語する。その余裕と自信はどこからくるのか。次ページでM&Aに対する考え方について、さらに詳しく聞いた。