桐谷広人さん写真=山本祐之

「大腸がんが見つかったのは『不幸中の幸い』でした」――。前立腺がんに続き、連鎖的に大腸がんが発覚するという衝撃の告白をしてくれた桐谷広人さん。 術後の苦しいリハビリや抗がん剤治療への覚悟、そして病床でも忘れなかった株主優待へのこだわりとは?  笑いと勇気をもらえる、桐谷さんならではの闘病インタビューです。(熊谷久美子、ダイヤモンドZAi編集部)

「要精密検査」を長年放置!
まさかの「2つのがん」発覚とセカンドオピニオンでの決断

──ご病気だとうかがいました。

 今年の1月にまず前立腺がんが見つかりましてね。何もしなくても5年は生きると言われたのですが、5年じゃ短いから、と手術を勧められてね。できれば手術は避けたかったので、東大病院のセカンドオピニオンを受けました。

 セカンドオピニオンには、6万6000円かかりました。予約をする時に「何も治療はしませんし、1時間きっかり話をするだけですよ」と何度も念を押されました。それでもいいと思ってお金を払って受けました。そして、そのセカンドオピニオンでも、手術を勧められたんです。 

 そうして、前立腺がんの手術がいったん6月29日に決まりました。その前に心電図やレントゲンなど色々と検査を行った結果、左足に血栓が見つかったんです。そして、その血栓を溶かす薬を飲んだんですね。そうしたら、いつも自転車でラクラク駆け上がっている坂で、息切れして一気に上れなくなってしまいましてね……。初めて自転車から降りて、手で押して歩きました。調べたら、今度は血が薄くなりすぎて異常値を示していると。それで再検査したら、今度は大腸がんが見つかったんです。

 血栓が見つからなかったら、血液サラサラの薬も飲まなかったでしょう。前立腺がんだけ手術してもっと悪い大腸がんはほったらかしになっていた可能性もありました。大腸がんが見つかったのは、「不幸中の幸い」みたいなところがありますね。

──普段、健康診断は受けられていましたか?

 毎年、将棋連盟の半日人間ドックを受けていました。その人間ドックの結果で、前立腺から分泌されるタンパク質の量を測る 「PSA」という数値が年々上がっていました。毎年ずっと「要精密検査」と出ていたんです。

 ただ、昔ね、ポリープができた時に「精密検査を受けるように」、と電話がかかってきたことがありました。だから、本当に悪ければ電話がかかってくるだろうと思い込んでいて、「要精密検査」という結果は、あまり気にしていなかったんです。

 ちゃんと検査していれば早期発見も可能だったのに、反省しています。

 2月に全身麻酔で病気の検査をしたのですが、その時にテスタさんとの対談のお仕事をお休みさせていただきました。私が仕事を休むのは、20歳の時に体調を崩した時以来のこと。ご迷惑おかけして申し訳なかったです。

──連鎖的に2つのがんが見つかりました。どのように治療されることになったのですか?

 前立腺がんのほうは、ほっておいても5年は生きられると言われましたが、大腸がんのほうはリンパに転移もあって、急いだほうがいいと。先に大腸がんの手術から受けることになりました。

 前立腺がんの手術のために、仕事の調整をしていたので、そういう意味でもよかったです。

40〜60cmの腸を切除…半年間の抗がん剤治療と今後の仕事 
傷口が痛むリハビリでも「自転車」!

──6月末に大腸がんの手術は無事終わり、今はお元気そうです。

 40センチから60センチの腸を切りました。手術の直後は本当に痛くて失敗されたかと思いました。傷口がホッチキスで止めてありましたし、咳や痰が出ると、とにかく傷口が痛くて。

 そんな中でも、手術の翌日からリハビリで歩いたほうがいいと言われました。ランニングマシーンに乗って歩いたり、指導員と病院の周りを歩いたりしました。

 そうそう、術後3日目から自転車のリハビリもさせられました。『自転車のリハビリなんて桐谷さんだからですか?』って聞かれるけど、誰でもやるみたいです(笑)。

──では、次は前立腺がんの治療でしょうか。

 摘出した部位の検査の結果が、相当悪い状態だそうです。それで、これから抗がん剤をやることになりました。前立腺がんのほうは、泌尿器科の先生と話し合いなんですけど、『もう前立腺がんの手術どころじゃないから』ということで、大腸がんの抗がん剤治療のほうを先にやることになりました。

 新しい講演はしばらく全部お断りするつもりです。でも、病気が発覚する前にお受けした講演の予定がまだたくさん残っています。抗がん剤治療の合間に、今決まっているものだけは行くつもりでいます。

 ただ、抗がん剤治療中は、人と握手したり接触するのは避けてくれと言われているので、そこがちょっと頭が痛いところです。

 昔、コロナ前の2017年ごろにね、福岡のイベントで、来てくれた人と写真を撮ったり自転車に2人乗りして抱きつかれたりしたことがありました。その時にインフルエンザにかかったことがあるんです。だから、抵抗力も落ちていると思いますし、講演で大勢の方と接触するのは気を付けたほうがいいかもしれませんね。

 抗がん剤治療をした後しばらくの間は、トイレも気をつけなくちゃいけないそうなんです。他の人に影響があるから、立ってしちゃいかんとか、流すときは絶対フタをしてとか、フタがないトイレは、自分の尻をフタがわりにして流して、とか(笑)。抗がん剤というのは大変な薬で、覚悟のいる治療なんだなあと思っています。

 この治療でどのくらい具合が悪くなるかまだわかりません。もしかしたら、しんどくて仕事に行けない日も出てくるのかも。でも、ありがたいことに、私に会うのを楽しみにしてくれている方もいるのでできるだけ行きたいと今は思っています。

桐谷広人さん

──今後の治療のスケジュールは?

 7月27日が、抗がん剤の1回目の予定です。21日の島根県の松江での講演の帰りに田舎(広島)に寄って、先祖のお盆の供養を行いましてね、東京に26日に帰ってきて、27日に抗がん剤の点滴をします。それから2週間は薬を飲んで、1週間休んで、また次の抗がん剤。3週間1セットを8回、半年間。再発防止のための治療です。

 大腸がんの先生は非常にやる気のある若い先生でね。『6カ月の抗がん剤治療は大変で、途中でやめちゃう人も結構いる。だけど、私は最後まであなたにやらせますから!』なんて言ってね。その先生の言う通りにやっていこうかなと思ってます。