2018年の連続テレビ小説「半分、青い。」で主人公の親友役を演じてブレイクした奈緒。25年には「東京ドラマアウォード」の主演女優賞、「橋田賞」でも新人賞を受賞するなど、俳優としての実力が評価されている。そして今回、主演する映画「死ねばいいのに」では、何者かに殺された友人に縁のある人物を尋ね歩くという、ミステリアスで難しい役どころを熱演している。本作を通じて感じたことや30代になって「見えてきたもの」について語ってくれた。(撮影:千倉志野 取材・文:高山亜紀)

「ダイヤモンド・ザイ」2026年8月号の「表紙の人/Precious Talk Lounge!」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

過去にタッグを組んだ監督との話し合い
金髪ショートヘアで新境地を開拓

 2018年の連続テレビ小説「半分、青い。」で主人公の親友役を演じてブレイク。以来、コンスタントに話題作に出演し続ける奈緒。2019年にはドラマ「あなたの番です」での怪演がニュースになり、2023年には夫婦のタブーに切りこんだ大人の恋愛ドラマ「あなたがしてくれなくても」が大反響。2025年は「東京サラダボウル」で「東京ドラマアウォード」主演女優賞を受賞した。最新主演映画『死ねばいいのに』はショッキングなタイトルから、早くも注目を集めている話題作だ。

奈緒奈緒●福岡県生まれ。近作に映画『傲慢と善良』(2024年/萩原健太郎監督)、ドラマ『東京サラダボウル』(2025年 / NHK)、舞台『大地の子』(26年/演出:栗山民也)など。4月にフォトエッセイ『いつか』を出版。W主演映画『シャドウワーク』が2026年9月25日公開。
ヘアメイク:竹下あゆみ スタイリング:岡本純子 

「お話をいただいた段階では原作をまだ読んでいなかったので、まずはインパクトのあるタイトルに驚いて、気になる企画だなと思いました。企画書には少し特殊な撮り方をすると書いてあったので、興味が湧きましたね。具体的には室内で撮ったものと同じシーンを野外でも撮ると聞いて、舞台のような撮影になるのかなと……。一体、どんな作品になるんだろうとワクワクしました」

 監督の金井純一とは『マイ・ダディ』でも組んだ仲。最終的には監督との話し合いが一番、大きかったと語る。

「挑戦的な現場になるだろうと思ったので、制作する意図を詳しく聞きたいと思いました。プロデューサーさんと監督とご一緒する機会をいただき、“どうしてこの役でオファーをくださったのか”ということも含め、いろいろとお話を聞かせていただきました。きっとワクワクする現場になると確信して、『ぜひ、ご一緒させていただきたい』とお答えしました」

 何者かによって命を奪われた伊東蒼が演じる鹿島亜佐美。彼女のことを知りたいと、奈緒が演じる渡来映子は亜佐美に縁のある人物の元を訪ね歩く。謎めいた主人公・映子を演じるために金髪ショートヘアに変身した奈緒は新境地を開拓した。

「舞台『メディスン』でいろんな扮装をしたのですが、その中に金髪のウィッグがあったんです。その姿を見た監督から、『映子は金髪がいいんじゃないか』と提案していただいて、『じゃあ、染めます』と本番に向けて、映子のビジュアルから、どういう人にしていくか、少しずつ成り立っていった印象があります。衣装合わせでは、『たくさん、洋服を持っている人ではないんじゃないか』という話になりました。だったら、何か印象に残るように映子がいつも着ている服を一つ、決めようということになりました。それから上着が決まり、映子の普段の生活が見えてくるような、彼女の暮らしぶりが自分の中で広がっていく感覚がありました」

 映画を通じて感じたのは「自分が今、生きたくて生きている」ということだった。

「何となく当たり前に、寝て起きると明日が来るように思っていたけれど、本当は毎日、生きるということを選択して、朝、起きて、家を出ているんだなということに気づかされました。とある本で、『寝るというのは小さく死ぬことだ』という文章を読んだことがあって、的を得ていると感じたんです。寝ている時は何が起きていても、自分の意識がそこにない。毎日、起きる度に“今日の自分だな”って思うんです。なので、眠りに入る時に“今、生きている”って気持ちになりますね。無意識にそう感じます」