パソコンを見てため息をつく女性写真はイメージです Photo:PIXTA

人的資本経営の潮流で、社員のエンゲージメントを測るパルスサーベイなどの導入が急増しています。しかし、人を大切にするはずの施策が、逆に現場の疲弊を招き「また人事が何か始めたよ」と冷笑される最悪の事態を引き起こしていませんか?社員を不幸にする組織に潜む“5つの残念な共通点”と、現場の信頼を取り戻すための正しい運用法に迫ります。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)

この記事の著者・安藤健さんをフォローするか、連載〈もう悩まない!職場・未解決問題〉をフォローすると、最新記事の通知がメールで届きます。リンク先の「+フォロー」ボタンをクリックしてください。

「またアンケートかよ」の溜息
社員を幸せにしない人事施策

 従業員満足度やエンゲージメント、組織コンディションをデータで把握しようとする企業が増えています。人的資本の情報開示が求められる流れのなかで、非財務情報として人材に関する指標を可視化する動きも加速しました。

 なかでも、毎週、毎月といった短い間隔で社員の状態を測るパルスサーベイは、脈拍を測るように組織の異変を早期に発見できる施策として急速に普及し、経営判断の精度を高めることにも寄与することが期待されています。感覚や経験に頼らず、社員の状態を数値化し、時系列や部署ごとに比較できることには、大きな意義があります。

 ところが現場からは、忙しいのにまたアンケートか、毎回答えているが何も変わらない、という不満が聞こえてきます。最初は真剣に回答していた社員も、回答しなくなったり、適当な数字を入力したりするようになる。それでも人事は、回答率を上げてください、今週もご協力をお願いしますと催促を続ける。

 そのうち、人事のアクション自体が現場を白けさせ、現場は人事に不信感を募らせるようになります。人事担当者も、経営陣からはさまざまな数値を出せと言われ、現場からは反発に遭って疲弊しています。人を大切にするために始めたはずの人的資本経営がみんなを不幸にするという皮肉な状況が生まれているのです。

 サーベイそのものが悪いわけではありません。問題は、それを運用する組織の側にあります。では、こうした施策が「また人事が何か始めたよ」と冷笑される会社には、どのような共通点があり、正しく運用するにはどうすればよいのでしょうか。