どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。

なぜ化粧品や健康食品の広告は「満足度98.6%」のように細かい数字を使うのか?Photo: Adobe Stock

キリのいい数字より、
半端な数字のほうが「本当」に見える

 化粧品や健康食品の広告を見ていると、「満足度90%」「満足度95%」というきりのいい表記よりも、「満足度98.6%」「継続率91.3%」といった、小数点まで書かれた細かい数字をよく見かけます。

 四捨五入して「約99%」と書いても伝わる内容のはずなのに、なぜわざわざ半端な数字のまま表示するのでしょうか。

 実は、この「細かい数字」は、単に正確さを追求した結果ではありません。数字の「精度」そのものが、内容の信頼性を判断する手がかりとしてお客様の心理に働きかける、非常によく考えられた表現の仕掛けなのです。

「丸めていない」ことが、誠実さの証拠に見える
(数字の精度効果)

 人は、提示された情報の中身を一つひとつ検証する時間も手段も持たないまま、その情報が信頼できるかどうかを瞬時に判断しなければならない場面が多くあります。そこで無意識に判断材料として使ってしまうのが、数字そのものの「見た目」です。

「90%」「95%」のようなきりのいい数字は、実際のデータを都合よく丸めたもの、あるいは大まかな印象値のように受け取られやすくなります。

 一方、「98.6%」のように端数まで示された数字は、「実際に集計した生のデータをそのまま公表している」という印象を与え、内容の裏付けがしっかりしているように感じさせます。

 これは、数字がどれだけ細かく表記されているかという『見た目の精度』だけで、情報の信頼度に対する印象が左右される現象で、心理学では『精度効果』などと呼ばれることがあります。

半端な数字は「調べた過程」を想像させる
(具体性による説得力の向上)

 もう一つの理由は、細かい数字が持つ「具体性」です。

「約90%の方に満足いただいています」という表現からは、実際に何人にアンケートを取り、どのように集計したのかという過程が想像しにくく、抽象的な印象にとどまります。

 一方で「98.6%」という数字を見ると、お客様の頭の中では無意識に「何人中何人が満足と答えた結果、この数字になったのだろう」という具体的な調査の過程が思い浮かびます。

 この「調べた形跡」を感じさせる具体性が、主張全体の説得力を後押しし、広告の内容をより信頼できるものとして受け止めさせるのです。

他の業種でも使える
「数字の精度」による信頼設計

 きりのいい数字ではなく、あえて端数のある数字を使うことで信頼感を高めるこの手法は、他の業種にも応用できます。

 ・学習塾や資格スクール:
「合格率90%」ではなく「合格率91.4%」と実際の数値をそのまま表記し、実績の裏付けとしての印象を強める

 ・整体院やエステサロンの実績紹介:
「多くのお客様が改善を実感」ではなく「継続利用者の94.7%が改善を実感」と具体的な数値を添え、体感的な訴求を裏付ける

 ・飲食店の来店・リピート実績:
「リピート率が高い」ではなく「リピート率83.2%」と数値化し、口コミや評判の説得力を補強する

まとめ

 化粧品や健康食品の広告が「満足度98.6%」のような細かい数字を使うのは、単に正確な数値を伝えたいからだけではありません。

 ・「数字の精度効果」により、丸めていない端数の数字が「実データをそのまま公表している」という誠実な印象を与え
 ・数字の具体性が「調査の過程」を想像させ、主張全体の説得力を高めている

 という、数字そのものの中身ではなく「表記の細かさ」を通じて、お客様に信頼感を抱かせる表現の設計なのです。

岡本達彦(おかもと・たつひこ)
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。