「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。「AI丸出しの文章を出してしまう人とそうでない人の違い」とは? ライター小川晶子氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

AI丸出しの文章を平気で出してしまう人の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

AIを使って残念なアウトプットをする人

サイエンス分野で著書もたくさん出している、ある研究者の方が「最近のAIは研究者とほぼ同じレベルになっている」と教えてくれた。
高度な理論を瞬時に理解し、的確な指摘をくれるので舌を巻いたそうだ。
「自分の論文を読ませると、自分より理解しているのではないかと思うほどだ」という。

一方で、「AI丸出しの文章を提出してくる部下(学生、ライターなど)にあきれた」という声を聞くことも多い。
SNSでもこの手の話は頻繁に見かける。

同じAIを使っていても、研究者を唸らせるアウトプットを出せる場合もあれば、読み手をウンザリさせる残念なアウトプットとなることもある。
なぜなのだろうか?

AI時代になるほど「地頭」が必要なワケ

誰でも地頭をよくする考え方を示した本『地頭スイッチ』の中で、著者の木下勝寿氏は「AI時代になればなるほど『地頭』が重要になります」と述べている。

ここで言う「地頭」とは、正解のない問いに対して「知らないからできない」と考えるのではなく、「正解をつくる」姿勢で臨むような頭の使い方のことだ。
対になっているのが「知頭(ち・あたま)」。
多くの人が陥りがちな、知識をためて記憶する頭の使い方である。

AI時代に価値が低くなっていくのは、言うまでもなく「知頭」のほうだ。
知識を瞬時に引き出したり整理したりするのは人間より圧倒的にAIのほうが優れている。
だからといって「AIに任せればいい」と考えてしまうと、相手をウンザリさせる文章を提出することになるのだろう。

判断のために必要な情報を集めよう

本書にはこうある。

仕事で最も重要なことは、正しい判断をするために必要な情報―目的・現状・条件―を、自分で拾い集めに行くことなのです。
知頭は目の前にある一部の情報だけで判断します。(中略)
一方、地頭は、すぐに答えを出しません。
まず情報を集め、足りないものに気づいたらそれを補強しにいきます。
そして、「これなら判断できる」と材料がそろってから答えを組み立てます。
最終的なアウトプットの差は、この姿勢の差から生まれるのです。
――『地頭スイッチ』より

AIを使ってよいアウトプットを出せる人は、頭の中に「正しい判断をするために必要な情報」はこのくらいだという概算があり、それに照らしながらAIを使っている。

日ごろから自分で情報を拾い集めて思考することに慣れている前述の研究者は、そういう使い方をしていたのである。

一方で、残念なアウトプットを平気で出してしまう人は、その概算が頭になく、目の前の情報だけで判断しているのだろう。

今後ますます「地頭」が重要になるという木下氏の主張は納得できる。
私も地頭スイッチを入れてAIを使いこなせるようになりたいと思う。