「とにかく定時で帰れ」「残業はするな」――そんな方針を掲げる職場が増えている。働き方改革が進み、長時間労働を見直す動きは広がった。一方で、仕事の状況や本人の意思にかかわらず、一律に残業を認めないことで、部下の成長や仕事への納得感を損ねてしまうケースもある。では、リーダーは部下の残業とどのように向き合えばよいのだろうか。話題の書『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その考え方を解説する。
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「とにかく定時で帰れ」でいいのか
定時になると、「今日はここまで」と仕事を切り上げる。そんな光景を見かけるようになりました。
働き方改革以降、残業を減らす動きが職場全体に広がりました。
もちろん、長時間労働の是正は必要なことです。
ただ、現場を見ていると、少し気になるケースも出てきています。
仕事が中途半端な状態のまま切り上げる。納得いかないまま「時間だから」と帰る。
本当はもう少し詰めたいのに、周りの目が気になって残れない
――そんな声を、部下からも上司からも耳にするようになりました。
残業は、法律でも認められている
そもそも残業は、悪いことではありません。
労働基準法では、一定の条件を満たせば、原則として月45時間までの残業が認められています。
法律の範囲内で、必要な残業をすることは、何ら問題のないことなんです。
それだけではありません。
本人が「きっちり仕上げたい」と思っている場合もあります。
「いまは吸収できるときだから、もう少し踏ん張りたい」とスキルアップの機会として捉えている若手もいます。
仕事の性質上、どうしても今日中に片付けなければならない場面だってあります。
残業にはそれぞれの事情があり、一律に「悪」と決めつけることはできないんです。
上司に伝えたいこと
上司に意識してほしいのは、「残業させるな」ではなく、「意味のない残業をなくす」という視点です。
だらだらと続く惰性の残業、付き合いで帰れない空気、非効率な仕事の進め方から生まれる残業
――これらは減らすべきです。
でも、本人が必要だと感じている残業、仕事の質を守るための残業まで、一律に禁止する必要はありません。
「今日は残ってやり切りたいです」と言える部下に、「とにかく帰れ」と言い切ってしまうのは、むしろその人の意欲や成長の機会を奪うことになります。
その結果、「帰ること」が評価され、「やり切ること」が評価されなくなる職場になってしまうこともあります。
大切なのは、残業の「量」ではなく「中身」を見ることです。部下が納得して仕事を終えられているか。
それを気にかけることが、リーダーの本当の役割です。








