パイの実ロッテのチョコレート菓子「パイの実」。リスが描かれた絵本のようなパッケージが特徴だ Photo by Manabu Fushimi

1979年9月の発売からまもなく47年を迎えるロッテのチョコレート菓子「パイの実」。競合らしい競合が見当たらないまま、緩やかな右肩上がりを続けてきたこの商品には、実は「チョコレート菓子なのにチョコレートが少ない」という盲点があった。それでも売り上げを落とさなかった理由とは?(フリーライター 伏見 学)

発売から40年超の「パイの実」
競合商品が生まれなかったワケ

 パイの実が生まれた1970年代は、各社がチョコレート菓子市場に相次いで参入した時代だった。

 例えば、江崎グリコの「ジャイアントカプリコ」(1970年)、明治の「きのこの山」(1975年)や「たけのこの里」(1979年)。そうした中でロッテが着目したのは、当時は主に洋菓子店でしか購入できなかったパイ菓子だった。

 開発担当者が海外の機械メーカーの展示会に訪れた際、大型の折りパイ製造機を発見し、数年かけて試作を重ねた末にたどり着いたのが、パイの実の特徴である、パイ生地を64層にまで重ね合わせた構造だ。

「層が少なければ食感はふわふわして柔らかくなりますが、崩れやすい。逆に層を増やしすぎると生地が硬くなり、中身にチョコレートを注入しにくくなる。いろいろな検討をした結果、64層がベストなバランスだったと聞いています」とロッテのマーケティング本部第一ブランド戦略部焼き菓子企画課の久保田祐揮主査は説明する。