発売から70年を超えるロングセラーとなっている「パインアメ」 Photo by Manabu Fushimi
発売から70年超、多くの人々に愛されている「パインアメ」。売り上げを順調に伸ばし、製造・販売を手掛けるパインの看板商品となったが、2002年、ピンチが訪れる。製造過程で使う油脂に無認可の成分が含まれていたことがわかり、全品回収することになったのだ。
製品、そして会社の一大事をどう乗り越えたのか。また、ロングセラーを支える「知られざる進化」とは。(フリーライター 伏見 学)
商品回収が生んだ安全への誓い
復活を待ち続けてくれた人がいた
成長軌道に乗り、そこからは順調に販売が伸びていったパインアメだったが、2002年、会社を揺るがす大事件が勃発した。
製造過程で飴が金型に張り付かないよう使う食用油脂に、食品衛生法で認められていない成分が含まれていたことが判明し、全商品を回収せざるを得ない事態となった。
パインの広報部でクリエイティブディレクターを務める井守真紀氏は、次のように当時を振り返る。
「上層部が深刻な顔で部屋に入っていくのを見て、何かあったと感じました。全品回収の発表があってからは、会社の電話が朝から夜遅くまで鳴りっぱなしで。私も途中で倒れてしまいました……」
会社の倒産すら頭をよぎった。ただ、取引先の問屋などからは意外な言葉が届いた。「棚の場所は確保しておくから、早く新しい商品を持ってきなさい」――冷たくあしらう業者だけでなく、復活を信じて待ち続けてくれる人たちがいた。







