小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。本記事では、子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』をもとに、「言語化が苦手な子の特徴」について、ライターの小川晶子氏にご寄稿いただいた。(企画/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「言語化が苦手な子」の特徴・ワースト1Photo :Adobe Stock

保護者に聞いた、「子どもの気になる言葉」

 ある本の企画で、小中学生の保護者に「子どもの気になる言葉」についてアンケートを取ったことがある。

「うざい」「きもい」などの言葉が気になるという親御さんの声が多く集まった。

 さまざまなエピソードが語られており、どれも興味深かったのだが、とくに印象に残っているのは次のような話だ。

「やったーマジ神!」

 小学5年生の娘さんを持つお母さんが、授業参観に行ったときのこと。

 道徳の授業の中で、先生が物語を伝え「このとき、○○さんはどう思ったのでしょうか」と登場人物の気持ちをみんなに問いかけた。

 多くの保護者が見守る中、一人の女の子が手を挙げて答えた。

「やったーマジ神(かみ)!」

 このエピソードを教えてくれた方は「強い違和感を覚えた」そうだ。

つい「便利な言葉」に頼ってしまう

 念のため伝えると、「マジ(で)神」というのは「本当にありがたい」というような意味だ。

「素晴らしいことをしてくれた人を褒めたたえる」ニュアンスもある。

 先生が宿題を減らしてくれたら「神!」と言うのがその例だ。

 ほかにも、単純に「最上級の嬉しさ」を表現するときや、「リスペクトの気持ち」を表現するときにも使う。

 ちなみに、対義語は「鬼畜」だと思われる。

「厳しい、ありがたくない、人でなし」と言いたいときに「マジ鬼畜」と言う。

 まぁ、勢いがあって面白いのだが……。

「便利な言葉」による弊害

 授業参観で聞いたら違和感を覚える大人は多いだろう。

 友だち同士で盛り上がるぶんにはいい。

 ただ、授業で発言するときは別の言葉に言い換えたほうが良い。

 気持ちを表現する言葉を丁寧に扱いところだ。

「マジ神」で良いのであれば、あれもこれもみんな「マジ神」になってしまう。

「言語化が苦手な子」の特徴

『小学生でもできる言語化』という本の中で、言語化に課題のある4つのタイプが紹介されている。

 その1つめが「大きい言葉ばかりを使ってしまうタイプ」だ。

 考えたことや感じたことを言語化するときに、いつも「ヤバい」「エグい」「神」など、いろいろな意味を一言で表現できるような「大きい言葉」ばかりを使ってしまうタイプです。
――『小学生でもできる言語化』p.51

 大きい言葉は便利だし、勢いが出るのでよく使っているという人は多いと思う。

 私も毎日のように「ヤバい」と言っている。

 ただ、本書の著者でショートショート作家の田丸雅智氏が言っているように、「使える言葉が『ヤバい』などの大きい言葉ばかりだと、くわしく正確に言葉にしなければならないときに困って」しまう。

 本書は、言語化のコツが本当に小学生にもわかるように書かれている。

 もっと詳しく言いたいのに、大きい言葉ばかりになってしまう人におすすめの一冊だ。