「ツタワル伝え方」なら、こうなります。「すみません、私がちょっと暑がりなもので、この温度だと少し集中しにくいのですが、もう少し下げてもらうことはできますか?」。

 自分の事情を正直に伝えつつ、相手を責めていない。これがアサーション(編集部注/相手を尊重しながら、自分の意見を率直に伝えるコミュニケーション手法)です。結果、相手も「この人はこちらを責めているわけじゃないんだな」と受け止め、協力的な行動をしやすくなります。

意見を伝えるときは
主語を「私」にするといい

 ここで重要なのが「私メッセージ」(I-message)と「あなたメッセージ」(you-message)の違いです。「あなたメッセージ」は、「あなたはおかしい」「あなたは迷惑だ」といった形で、相手に責任を押し付けるニュアンスになります。こう言われて気持ちのいい人はいません。責められているように感じると、その内容よりも非難の印象が強くなり、信頼を築くのが難しくなります。

 一方、「私メッセージ」で伝えると、相手の反発は起きにくくなります。「私はこう感じている」「私はこう見ている」と、主語を「あなた」から「私」に変えるだけで、同じ内容でも受け取り方がまるで違います。「私は少し暑いです」「私はこういうとき集中しづらいです」と、感情や困りごとを、自分の中の体験として伝えてみてください。

 さらに、職場で複数の人が関係する場合は、「私たちメッセージ」(we-message)にすると、より一層共感が高まります。

 たとえば、職場で上司に無理な締め切りを求められたとき。「この納期は無理です」はセメル伝え方。何も言わず徹夜するのはガマンする伝え方。ため息をつきながら「やれって言うなら徹夜しかないですね」と言うのはイヤミな伝え方。

 ツタワル伝え方なら、「この締め切りだと、品質面で少し心配があります。あと2日いただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか」。アサーティブな「私たちメッセージ」だと、「あと2日いただけると、私たちの製品はさらにいいものにできると思います」のような形になります。