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ビジネスの現場では、無理な要求を突きつけてくる取引先や、こちらの話に耳を貸さない頑固な上司に頭を悩ませることも多い。真正面から反論すれば、関係がこじれるだけ――そう感じた経験がある人も少なくないだろう。しかし、元公安の筆者は、スパイと向き合うなかで磨き上げた話術によって、こうした難局を幾度も乗り越えてきたという。相手に不快感を与えず、信頼関係を保ったままこちらの要求を通すには、どんな言葉を選べばいいのか。その実践的な会話術を紹介する。※本稿は、元警視庁外事課の勝丸円覚『スパイに学ぶ「あざとい」会話術 ビジネスに役立つ諜報員の言葉の魔法』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
信頼関係を損なわない
じょうずな断り方
相手からの無理な依頼に直面したとき、ただ「できません」と拒絶するだけでは信頼関係を損なう恐れがある。重要なのは、相手の立場を理解しながら境界線を引き、関係性を維持しつつ現実的な解決策を提示することである。
外事警察(編集部注/公安警察の一部門。テロ、スパイ活動、不正輸出などを捜査・防止する組織)の現場でも、信頼関係を損わずに「できないことをどう伝えるか」は極めて重要な技術であった。
交渉や対話において、最初に共感を示すことは相手の防衛心をやわらげる効果がある(ハロー効果)。いきなり否定すると、相手は要求をさらに強める傾向があるため、まずは「気持ちは理解している」という姿勢を見せることが重要である。
たとえば、情報提供者から「もっと謝礼を上げてほしい」と言われたとき、その場で否定せず、「君の働きにはいつも感謝している。努力するので少し時間が欲しい」と言い、その後、上司と交渉を行ったが拒否され、「現時点では予算の枠が厳しくて、すぐに増額するのは難しい」と正直に答えた。







