〈シーン4〉部下や後輩の
報告書の出来が微妙なとき

【誤・ガマン】「まあ……大丈夫です」と本心を隠して通してしまう。
【誤・セメル】「これじゃ全然ダメだよ。やり直して」と一方的にダメ出しする。

【正・ツタワル】「ここまでまとめてくれてありがとう。データの整理が丁寧でいいですね。一点だけ、結論部分をもう少し具体的にすると説得力がさらに増すと思うのですが、どう思いますか」

 まずは良い点を認めてから改善提案を「私はこう思う」と伝え、最後に相手の考えを聞く。この「承認→提案→傾聴」の三拍子は、アサーションの基本形です。

型を覚えてしまえば
自然なアサーションが可能に

 こうした場面で共通しているのは、アサーションには「型」があるということです。ここで、ツタワル伝え方を実践するための3つのステップをお伝えしておきます。

ステップ1 事実を伝える──感情や評価を交えず、具体的な出来事だけを述べます。「あなたはいつも来るのが遅い」ではなく、「今日の会議は10分遅れてのスタートでした」というように、できるだけ客観的に伝えます。

『職場の憂鬱「無気力な毎日」には理由がある』書影職場の憂鬱「無気力な毎日」には理由がある』(前野隆司、SBクリエイティブ)

ステップ2 自分の気持ちとリクエストを伝える──「私は少し困っています」「次回は5分前に来てもらえると助かります」のように、主語を「私」にして感情と要望をセットで伝えます。ここで「あなたメッセージ」を使うと、相手は責められたと感じて防御に入りがちですが、「私メッセージ」だと素直に受け止めやすくなります。

ステップ3 相手の気持ちを聞き、一緒に考える──「何か事情がありましたか」「どうすればうまく回せそうですか」「一緒に何ができそうですか」と問いかける。一方的な通告ではなく、相手と対話しながら意見を交換することで、相手も自分の考えや課題を理解しやすくなり、協力的に解決することができます。

 この3ステップは、上司と部下の関係だけでなく、同僚間、取引先との交渉、さらには家庭でのコミュニケーションにも応用できます。大切なのは、まず日常の小さな場面で「型」を試してみることです。信頼関係のある相手との何気ないやりとりから始めれば、自然とアサーションの筋力がついてきます。