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最前線で働くビジネスパーソンが押さえておきたい、時代の変化とその背景を理解する上で欠かせない注目書籍を作家で元外交官の佐藤優さんが厳選する。改正皇室典範が可決・成立する中、天皇制の在り方について考えるための必読書とは?強迫観念に取り憑かれた現代人が、自由をつかむためにいまこそ耳を傾けるべきものとは?地球灼熱化の進行という新しい現実に対応するには? 『継体天皇』『夏帆』『異常気象の科学』の3冊から「ここだけは読んでほしい重要な箇所」を紹介する。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)
改正皇室典範が可決・成立の中
天皇制の在り方について考える
7月17日、皇室典範改正法案が国会で可決・成立した。女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持できる制度や、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える制度が盛り込まれた。天皇制の在り方について考える上で河内春人著『継体天皇』は必読書だ。
河内春人著『継体天皇 六世紀に現れた世襲王権の「始祖王」』中公新書、2026年5月刊行
6世紀初頭に天皇制の存続が危ぶまれる出来事があった。
〈五〇六年一二月、仁賢天皇の子の武烈天皇が、実子がいないまま亡くなった。当時の朝廷の重鎮の一人、大伴金村は「王位継承者がいなくなってしまった」と述べている。武烈天皇にはもともと男子も女子もいなかったとも記す。大伴金村の発言によれば、仁徳天皇の子孫の王統は途絶えた。
仁徳天皇の皇統の断絶に際して大伴金村は、古くに枝分かれした皇族に引き継がせる方法で問題解決を図ろうとした。(中略)
天皇が不在のまま年が明けた。正月四日、大伴金村は次の候補者を選んだ。白羽の矢が立ったのが、応神天皇の五世孫で越前の三国にいた男大迹(おほと)王(継体天皇)である。慈悲深く孝行の念が篤いというのが理由だった〉(68ページ)
日本も中華文化圏に属する。そこでは、天の意思に反する王が生まれた場合、その王は平和裏に禅譲するか、武力によって放伐されるかによって滅びる。支配者が変わるとその姓も改まるという易姓革命思想が標準理論とされた。武烈天皇のような悪王が現れると天から見放され、滅びるのは当然だ。しかし、日本の場合、それが王朝交代にはつながらない。大きな杉の木の幹が腐って倒れると、その枝が幹になるのと同じように、天皇家の傍流から新たな天皇が即位するのだ。
革命はあるが易姓がないというのが日本の特徴だ。だから皇族には姓がないのである。







