何歳になっても成長し続けられる人と、ある年齢を境に「過去の遺物」のように枯れていく人の違いはどこにあるのか。多くの人はその差を才能やセンスのせいにしますが、本質は異なります。それは、自分自身を客観視するための「モノサシ」を持っているか否かです。今回は、『リーダーの仮面』に続くシリーズ書『数値化の鬼』をベースに、40代・50代のベテランこそが陥りやすい「客観性を失うワナ」と、その先の悲惨な末路について解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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根拠なき自信の罠
40代や50代の管理職になり、ある程度のキャリアを積み重ねてくると、人は無意識のうちに「自分のやり方」に強い自信を持つようになります。
「これまでこの方法でやってきて、成果を出してきた」
「現場の空気を見れば、何が問題かすぐにわかる」
このように、過去の成功体験から導き出した「経験則」や「直感」を頼りに部下を指導し、組織を動かそうとする。
一見、頼りがいのあるベテラン上司の姿に見えるかもしれませんが、これこそが組織を停滞させ、自身を「老害」へと退化させる最悪の習慣の始まりです。
自分の経験則だけで仕事をする人は、客観的な現在地が見えなくなります。
時代の変化や市場のルールが変わっているにもかかわらず、自分の主観を優先させてしまう。
結果、チームの業績が落ちているのに、「部下の熱意が足りない」「今の若い世代は根性がない」と、原因を外部に転嫁して、自己欺瞞に陥るのです。
事実から目を背ける自己欺瞞
『数値化の鬼』という本で私は、自分を客観視することの重要性と、それを可能にする道具について、次のように書きました。
このアドバイスが過去に、何千、何万、いや何億回と言われてきたことでしょう。
しかし、そんな簡単に、「自分に足りていない部分」は見えないものです。
ただ、世の中には、それを可能にするものがあります。
それが、「数字」です。
数字は、客観的な視点を与えてくれる「モノサシ」です。
「仕事ができる人」「急成長する人」には、ある共通点があります。
それは、物事を「数字で考えられる」ということです。
不足している部分を数字で認識して、正しく埋めようとする。
つまり、「数値化」の思考がものをいう。
いかなるときも、「感情」を脇に置き、「数字」で考えられること。
それがまさに、「客観的に自分を見る」ということです。
――『数値化の鬼』より
数字という客観的なモノサシを排除し、曖昧な「言葉」や「感情」で仕事をするベテランは、自分の「不足」を直視することを恐れています。
「最近の若手は……」と愚痴をこぼすのは、自分の能力やマネジメント手法が時代に適合していないという「冷酷な事実」から目を背けるための保身にすぎません。
客観的に自分を見ることをやめた管理職は、周囲から「話の通じない頑固なおじさん」として煙たがられ、組織の中で急速に孤立していきます。
仮面をかぶり「現在地」を直視する
この客観性を失ったまま定年を迎えると、さらに悲惨な末路が待っています。
会社の看板や役職を失った瞬間、自分の主観を押し付ける相手は誰もいなくなり、待っているのは孤独で「つまらない老後」だけです。
そうならないために、40代・50代の今こそ、自分に対する「数値化の鬼」になる必要があります。
「今月、自分のチームの売上は目標に対して何%不足しているのか」
「自分の部下を何回、具体的な数字を用いた指標で正しく評価できたか」
感情を脇に置き、事実をありのままに直視する。
リーダーは「リーダーの仮面」をかぶり、主観によるお気持ちマネジメントを今すぐ捨てましょう。
自分の「不足」を数字で正しく認識し、それを埋めるための行動を起こし続けるベテランこそが、何歳になっても組織から求められ、現役時代を超えて豊かな人生を送り続けることができるのです。




