「会社の方針だから仕方ない」「上がそう言うからやるしかない」。何かを指示する際や、失敗の言い訳をするときに「誰か」を主語にして逃げる。そんな言葉を平気で口にするベテランが、いかに周囲から軽蔑され、自分の存在価値を失っているかに多くの人は気づいていません。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「人間の行動原理」と、自分の言葉に100%の責任を持つことの重要性について解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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責任から逃げるおじさんの末路
40代、50代のベテラン社員や中間管理職で、部下や後輩に向かって次のような言い方をする人がいます。
「私としては今のままでいいと思うんだけど、上の人がうるさくてさ」
「今回の不本意な方針は、会社が決めたことだから従うしかないよ」
一見、これは「部下と同じ目線に立って理解を示してくれている優しい先輩」に見えるかもしれません。
しかし、これは単に「自分が悪者になりたくない」という自己防衛のために、会社や上層部にすべての責任をなすりつけている最低の態度です。
主語を曖昧にして責任から逃れようとするリーダーの言葉は、部下に対等な馴れ合いを感じさせ、組織の緊張感を一瞬で麻痺させます。
そんな言い訳ばかりのおじさんは、年齢を重ねるごとに「空気を読むだけの役に立たない調整役」として、降格の最優先候補へと成り下がっていきます。
言い訳を重ねても、目の前の現実は変わらない
『パーフェクトな意思決定』という本で私は、自分を守るために「言い訳」を口にすることの無意味さと、それを完全に排除する論理的なマインドセットについて次のように説いています。
100%正しい結論なんて導き出せない。
いったん結論を出すということ。
それが間違える可能性があるということ。
そして、もし間違えたとしても、反対意見を言った人の立場が偉くなるわけではないということ。
事実に基づいて意思決定をしていれば、どんな思考だったかを振り返ることができるはずです。
そして勘の部分は、「勘だ」と言う。
に言い訳の余地はありません。
そもそも「言い訳」は誰のためにするのでしょうか。
それは、おそらく「自分を守るため」です。
しかし、考えてみてください。
第三者の言い訳を聞きたい人は、この世にいません。
それを言ったところで、事実は変わらない。
そのことを理論的に知っておくことです。
――『パーフェクトな意思決定』より
不確実な世界で下された決断には、成功もあれば当然失敗もあります。
しかし、失敗した際に「言い訳」を並べて自分を取り繕う行為は、ただ醜態を晒しているだけです。
第三者(部下や経営層)の時間を奪うだけの無駄なノイズなのです。
責任から逃げないこと
周囲から真にリスペクトされ、何歳になっても求められ続ける存在になるためには、「自分を主語にして語る」という圧倒的な当事者意識が必要です。
だからこそ、リーダーはリーダーの仮面をかぶらなければなりません。
「上がうるさいから」という言い訳の「素顔」を完全に隠し、上司という「位置」に立って、
「この方針は、私の責任において決定した。だからこそ、メンバーの全員にこのルールを守ってもらう」
と、主語を「私」にして堂々と言い切るのです。
言い訳という自己防衛の麻薬をきっぱりと捨て、自らの責任を100%背負って言葉を発する。
その毅然とした背中こそが、何歳になっても組織の中で放たれる唯一無二の輝きであり、部下を強く成長させる最高の教科書なのです。




