「上の顔色をうかがい、部下の機嫌を取り、ひたすら波風を立てないように調整する」。この一見スマートに見える立ち回りが、実は組織の成長を止め、自分自身の存在価値をゼロに近づける最悪の怠慢です。人間は責任から逃れ、他人の決定に「反応」するだけで生きようとする弱い行動原理を持っています。この本質に甘んじるリーダーは、真っ先に不要とされるリストラ候補になります。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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「決めない、指示しない、責任を取らない」の罠
40代の中間管理職(課長・マネジャー)になり、プレイングマネジャーから本格的な管理職へと移行する時期、最も陥りやすいのが「空気を読むだけの調整役」になってしまうことです。
上からの無理な指示には「上がそう言うから仕方ない」と責任を転嫁し、下からの不満には「大変だよね、僕からもうまく言っておくから」と媚びを売る。
自分の意見や指示で誰かと対立するリスクを徹底的に避け、なあなあの穏便な空気を作ることに終始します。
しかし、これは優しさでもスマートさでもありません。
指示を出す責任、決める責任、そして結果に対する責任から、上司自身が全力で逃げ続けている「最悪の怠慢」にすぎません。
「何も言わない上司」は部下を見捨てている
『とにかく仕組み化』という本で私は、この空気の読み合いの残酷さについて次のように指摘しています。
しかし、個人や会社の成長を止めている存在です。
優しさの裏側は、残酷です。
何も言わない人は、優しいからではありません。
見捨てているのです。
――『とにかく仕組み化』より
部下のやる気を気にしてご機嫌をうかがい、何もルールを敷かず、間違ったことに対しても感情的な衝突を恐れて口を閉ざす。
そんな「優しい上司」は、部下の本当の成長、そしてその先のキャリアを見捨てている「最も残酷な存在」です。
境界線を引かず、属人化に甘んじた管理職は、チームの成果が上がらなくなった瞬間に責任を問われます。
40代にして「指示ができない、不要な調整役」として会社から真っ先に切り捨てられる悲惨な末路を迎えます。
自分を主語にして「責任」を引き受けよ
中間管理職は、上と下のクッション材や伝言ゲームの伝達係であってはなりません。
「この目標を達成するために、Aさんはこの業務を完了してください。責任は私が持ちます」
と、主語を「私」にして、自らの責任において明確な指示を言い切り、部下に与えるべきです。
リーダーは仮面をかぶり、嫌われることを恐れる自分の弱さと戦わなければいけません。
空気を読むだけの調整は今すぐやめ、ルールを敷き、事実だけで評価する。
その厳しいマネジメントに立ち返ることこそが、部下の人生を真に救い、組織の中で「なくてはならない責任者」として生き残る唯一の道なのです。




