日本高野連の決算書を見ると、2015年から17年までの高校野球関連事業の経常収益は8億円前後で、その9割以上が入場料収入、次いで記念品などの配布品収益になっていて、収支はとんとんと言う感じだった。この時期まで、甲子園の外野席は無料だったが、2018年から夏の甲子園の外野席を有料にするなど入場料を値上げして入場料売上は約10.8億円になり、収支も黒字化した。

 しかし2020年の新型コロナ禍で春の甲子園は中止、夏は無観客で甲子園高校野球交流試合を行った。入場料収入は0円となり、日本高野連は5億円の赤字に転落する。

 翌2021年の春は観客を入れたが、夏は応援団などを除いて無観客で行われたので、この年の入場料収入は2.7億円にとどまり、1.82億円の赤字だった。

 翌2022年には入場料を再度値上げして入場料収入は12.8億円と回復、以後、収支は黒字に転じている。

「慈善事業」は不変だが、その維持のために四苦八苦しているのがわかる。

「慈善事業」の建前が
地方高野連やマネージャーを苦しめる

 前述したとおり春夏の甲子園では、日本高野連はNHK、民放から放映権料を受け取っていない。「慈善事業」と言う建前があるからだ。放送局は「野球振興」に協力して放送していることになっている。

 ここまでの人気スポーツ事業であれば、収益構造は入場料と放映権、さらにはスポンサー収入の「3本足」であるべきだが、慈善事業である高野連は限定的なスポンサーなどの例外はあるにせよ、入場料だけの「1本足」だ。

 その一方で、日本高野連は阪神甲子園球場に球場使用料を支払っていない。球場を所有する阪神電鉄は、鉄道運賃に加え、物販収入などを得ているが、ここにもビジネスが介在していない。万事経費が掛かる現在、これでは苦しくなるのは当たり前だ。

 春夏の甲子園の観客数は総計で100万人を超えるが日本高野連の収入は10億円前後、NPB球団は平均して年間200万人程度の観客動員だが、年商は200億円前後。業態は違うが、経済規模はおよそ10倍だ。