グラウンドを走る高校野球部員写真はイメージです Photo:PIXTA

高校野球でも、データを活用した指導や、選手の自主性を尊重する新しいスタイルが広がっている。ところが、改革に踏み出した指導者ほど、思わぬ反発にさらされることがある。なぜ高校野球は、変わる必要性が叫ばれながら、なかなか変われないのか。その背景には、昔ながらの「成功体験」にとらわれ、学ぶことをやめた人たちの存在がある。※本稿は、スポーツライターの広尾 晃『高野連』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

高校野球界が
データ野球に消極的なワケ

 世界の野球界は、野球の統計学であるセイバーメトリクスや、バイオメカニクスの進展により、劇的に変化しつつある。

 こうしたデータ野球は、戦略、戦術的に利用されているだけではない。筆者は先日、NPB球団のアナリストから、「ある投手が、突然回転数や球速が上がったりするときは、限界を超えて体が動いている可能性が高く故障の前兆だ。だから投げるのをしばらくやめさせる」という話を聞いた。データ野球の知見を得ることは、選手の身体能力を高めるだけでなく、怪我、故障のリスクを回避することにもつながるのだ。

 筆者は2023年、ミズノの野球用具の開発担当者に話を聞いたが、「今の高校生用のバックパックはタブレット端末を収納するスペースがあるのが標準仕様になっている。試合でも、練習でもタブレットは必須のアイテムになっているから」とのことだった。

 今では、多くの高校で弾道計測器「ラプソード」やバットスピードを計測する「ブラスト」を導入している。また、試合のデータもアプリで共有するのが当たり前になっている。高校生でも学会などでアナリスト的な研究発表をするところが出てきている。