肘に手を当てる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

高校球児の肩や肘を守るため、甲子園にも球数制限が導入された。だが、投手の故障を防ぐために必要なのは、単純に「何球まで」と線を引くことだけなのだろうか。アメリカでは、MLBと研究機関が大規模な調査を行い、投球数だけでなく、投球フォームや球速、球種、投球する時期など、さまざまな要因と故障の関係を調べてきた。そこから見えてきたのは、球数制限にとどまらない「怪我予防」の考え方だった。投手の故障をめぐる日米の「課題解決」の違いとは?※本稿は、スポーツライターの広尾 晃『高野連』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

「1週間500球」の球数制限に
日本球界から批判が噴き出す

 2020年12月に神戸市で行われた日本整形外科スポーツ医学会と日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会の合同学会の席上で、ゲストスピーカーとして登壇した桑田真澄は「1週間500球」という球数制限にはまったく意味がないと批判した。

 身体的にも精神的にもできあがったプロ野球のエース、巨人の菅野智之でさえも16日で3登板、300球いかないレベル、MLBヤンキースの田中将大は3登板で200何球かしか投げないとし「成長期にある高校生がプロの倍も投げるというのはいかがなものか。はっきり言って壊れます」と強調した。

 日本高野連の有識者会議は7カ月、わずか4回で提言に至ったが「議論がまったく足りていない」という批判もあった。

 一方、メディアではレジェンド解説者が「球数制限」を猛批判した。

「伸び盛りの高校生の時代に投げ込みをしないで、いい投手になれると思うか。靱帯は投げれば投げるほど、太くなって強くなるんだ」

「正しいフォームで投げていたら何百球投げても故障などするはずがない。投手の故障は、球数の問題ではなく投球フォームの問題だ」

「あれだけ『球数制限』しているMLBの投手が、どんどんトミー・ジョン手術しているじゃないか。球数と故障は関係ない」

「100球で降板するような高校生は、プロへ行っても100球しか投げられないから通用しない」