S&P500が史上最高値を更新した。どうしたら老後の不労所得を得られるのか? お金持ちになれる人の「共通点」と「落とし穴」とは何か? そのヒントをくれるのが全米ベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段 ―― 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』だ。50年以上、数万世帯のファイナンス情報から導き出された本書をもとにライターの前田浩弥氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

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老後に「お金で後悔する人」の共通点とは?

「不労所得」という言葉には、甘美な響きがある。
「働くことは立派である」「努力して稼ぐことこそが正しい」とする風潮の中で、「働かずに得る所得」である「不労所得」は、どことなく「禁断の収入」のような背徳感をまとっている。

 加えて、「働かなくていいのに、お金の心配もしなくていい」という状態は、人生の桃源郷を思わせる。
 そのため、「配当金だけで生活できたらいいなぁ……」と、資産形成のゴールとして「不労所得」を掲げる人は少なくない。

 ただ、忘れてはいけないことがある。

 現在、実際に「不労所得」で生活している人の多くは、自身の労働、知識やスキル、それによって生み出した資産を「先行投資」しているということだ。
 いきなり、完全に「何もしないでお金が湧く状態」を味わっている人は、ほぼいない。

「配当金だけで生活する」という目標を実現するのは、思いのほか大変だ。
 たとえば、年間300万円の生活費を配当だけで賄おうとすると、配当利回り3%ならば1億円の元手が必要になる。
 利回り4%としても7500万円だ。決して手の届かない数字ではないが、多くの人にとっては長い時間を要する。

 だから、「不労所得で暮らす」というゴールだけを見つめていると、途中で挫折しやすい。「まだ何千万円も足りない」「自分には無理だ」と感じてしまうからだ。

「資産を増やす人」を象徴する一文

『THE WEALTH LADDER 富の階段』では、資産形成を「一気に最終的なゴールを目指すもの」ではなく、「『富の階段』を1段ずつ、着実に登るプロセス」として考えることを勧めている。
 象徴的なのは、次の一文だ。

今日のあなたの収入は、明日の資産の基盤になる。
――『THE WEALTH LADDER 富の階段』より

 この発想に立てば、不労所得は「最初から目指すもの」ではなく、「資産が積み上がった結果として、自然に大きくなるものなの」ということが見えてくる。

不労所得生活は「目指すもの」ではない

 資産がまだ少ない段階では、配当利回りを数%改善することより、収入を増やしたり、毎月の投資額を増やしたりするほうが、資産形成への影響ははるかに大きい。
 毎月、2万5000円の投資額を増やすことができれば、年間で30万円。これでも将来の資産は大きく変わる。

 しかし、資産が数千万円規模まで育てば話は変わる。
 運用益や配当収入そのものが生活に与える影響は大きくなり、「お金がお金を生む」状態に近づいていく。ここまでくると、「不労所得で暮らす」状態が現実のものとして見えてくる。

 1段ずつ「富の階段」を着実に登る、その積み重ねの先にこそ、結果として「不労所得生活」という果実が待っているのだ。