こうした締めつけの強化には、接待や会合の場で起こりやすい汚職・談合を防ぐという狙いに加えて、「多人数が集まって話し合う場」そのものに対する警戒もあると感じます。ビジネスの会合であっても、「一定人数が集まる場」に対して、中国政府は警戒感を強めてきました。
かつてはビジネスセミナーや講演会が大歓迎され、私自身も日本総研勤務時代にはホテルでの講演などを問題なく行ってきました。しかし現在は、「規模が大きく、熱気を帯びた集まり」ほど当局の目が厳しく向けられるようになっているのです。
このように、腐敗防止と統治の安定を名目とした監視社会への移行が、2010年代以降の中国の大きな特徴と言っていいでしょう。
中国に優秀な人材が
集まらない理由
中国の未来を考える際に鍵となるのは、「人口減少」と「人材確保の難しさ」です。
中国はすでに少子高齢化のフェーズに入っており、若年人口が増え続けているインドやアフリカ諸国とは異なる人口構成になっていくことは必至です。一方、国内の政治的制約や将来への不安から、優秀な人材がアメリカなど海外に渡る動きも加速しています。
今や中国は世界第2位の経済大国。しかし、アメリカのように世界中から優秀な人材が集まるという状況にはなっていません。シンガポールやインドから見ると、アメリカより中国のほうが距離的には近い。しかし、こうした国々の優秀な人材が起業や留学先として選ぶのは、中国もゼロではないのでしょうが、やはり圧倒的にアメリカなのです。
これに加えて、中国からアメリカへと渡る人も、第2次トランプ政権で陰りは見えるもののこれまでは増えていました。今や世界第1位と第2位の経済大国は、今後のアメリカの移民政策などにより左右される面はありますが、片や「優秀な人材が集まるアメリカ」、片や「優秀な人材が流出する中国」と、人材確保の点では違いがあります。
そう考えられる理由は単純かつ明白です。
アメリカはもともと移民がつくった国です。トランプ政権によって排外的になったと見られている節もありますが、さまざまな出自の人々が暮らしているという元来の多様性自体は損なわれていません。







