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トランプ関税や留学生ビザの規制強化など、アメリカの内向きな姿勢が鮮明になっている。社会の分断や成長力への懸念が高まるなか、今後もアメリカは「世界の中心」であり続けるのか。※本稿は、著述家の山中俊之『世界のエリートが学んでいる教養としての超現代史』(SB新書)の一部を抜粋・編集したものです。
アメリカで固定化する
経済格差と人種間格差
アメリカは今後、どのような方向へ進むのか。まず内政ですが、当然のごとく、4億に届こうかというほどの人口を擁する巨大な移民国家である点は、今後もずっと変わりません。
毎年の移民に加えてイスラム教徒やユダヤ教徒など出生率の高いグループの存在もあって、アメリカは先進国としては数少ない、少子化に困ることがない国でもあります。また言語面でも「英語」という世界標準語が話されている利点は大きく、大きな方向性としては、優秀な留学生や研究者が移り住む豊かな土壌であり続けるでしょう。
一方で深刻なのは、「貧富の経済格差」と「人種間格差」の固定化です。
ここに近年の排外的な政治ムードが重なると、分断はいっそう深まります。
トランプ大統領は「不法移民の排除」を掲げており、合法的な移民については受け入れを否定しているわけではありません。しかし強硬な政策が「排外主義の象徴」と受け止められたことは事実であり、留学生ビザの規制強化などで、優秀な人材がアメリカを敬遠する動きも生まれています。関税は、結果として物価高となりアメリカ人の生活を脅かします。
こうした状況が、短期的にはアメリカの成長力を削ぐ可能性があります。現に「トランプ大統領の政策により、アメリカの成長は5年ほど遅れる」のではないかと私は考えています。トランプ大統領自身には成長を促進する意図があるのでしょうが、極端なやり方が反動や分断を拡大し、かえって成長の足を引っ張る可能性は否めません。
軍事介入を抑え
「自国第一主義」が進む
続いて対外姿勢ですが、結論から言えば、アメリカは国際政治・外交において、今後しばらく、かつてのような積極介入路線には戻らないでしょう。
古くはベトナム戦争、さらにはイラク戦争、アフガニスタン介入と、長年にわたる軍事行動が十分な成果を生まず、むしろ自国の疲弊を招いたという反省が、政治指導層にも国民にも共有されつつあります。
中国への対抗姿勢も、ニューヨークタイムズ(2026年1月24~25日)が論じているように「アメリカのエリートが、中国の台頭という現実を受け入れ始めた」ことから、先鋭化する可能性は減っていくと思います。
第一次世界大戦以前のような「徹底した孤立主義(不干渉主義)」とまではいかずとも、西半球でアメリカの国益を直接害する場合やイスラエルの安全保障に脅威になる場合などの選択的な介入にとどまるでしょう。
また、EUが再生可能エネルギーへ大きく舵を切る中、アメリカはシェール革命で世界最大級の産油国となり、エネルギー自給率を劇的に高めました。







