中国が海外から起業家や留学生を受け入れる器となるには、そうした「国としての多様性の受容」が欠けているのです。東アジアの漢字文化圏の人を除き、習得が相当に難しい中国語の存在や共産党一党支配の政治体制も大きな障壁になります。

 中国は人口も世界第2位の巨大国家ですから、人口減少といっても、すぐに問題になるわけではないでしょう。14億もの人口に支えられて、今後しばらくはアメリカに次ぐ経済大国であり続けるはずです。ただし長期的に考えると、優秀な人材の流入が少ないことが、中国の成長の天井になっていく可能性は十分に考えられます。

レアアースが中国に集中
国際社会に新たな不安

 となると、中国は、どういう形で世界に影響力を及ぼしていくのでしょうか。

 今後、いくら経済力をつけても、おそらく中国が「世界全体の覇権国」になることはありません。その代わり、自らの勢力圏の内部や、いくつかの分野では主導権を握る「部分的覇権国」になり、アメリカなどと覇権を争う国になると考えられます。

 たとえば、ここ10年あまりで急速に進んだEV化、再生可能エネルギーなどの環境分野では、世界トップレベルの競争力を持っています。環境問題という「人類共通の課題」でリーダーシップを発揮することは、国としてのメンツを保つためにも、中国にとっては非常に魅力的な道です。

 その反面、レアアースなど重要な資源の産地が中国などに集中していることは、国際社会にとって新たな不安定要因ともなります。どこまでいっても西側の価値観や国家体制とは相容れない国に、世界中の産業に欠かせない資源を握られていること自体が、外交上の火種になると見ざるを得ません。

 レアアース採掘現場での環境破壊や人権侵害も指摘されているため、中国は「環境大国」として称賛されながらも、利害・利権が絡む裏側では「環境破壊」「人権軽視」がまかり通っているという、表の顔と裏の顔を同時に持ち続けていくでしょう。

 また、「一帯一路」や対外援助を通じて、アフリカやラテンアメリカ、中東、東南アジア、南太平洋など「グローバルサウス」における中国の存在感は、今後もさらに高まっていくはずです。