返信しなければいけないメールがある。資料もつくらなければいけない。でも、なぜか始められない。そんなとき「自分は意志が弱い」と思っていないでしょうか。『瞬動力』(大和出版)の著者・名郷根修さんが勧めるのは、やる気を待つことではなく、「5秒で動ける大きさ」まで行動を小さくすることです。

先延ばしする人は「やる気」を待っている。すぐやる人が最初の5秒でしていることPhoto: Adobe Stock

「やる気が出たらやろう」では、いつまでたっても始まらない

 やらなければいけない仕事があるのに、なぜかメールやSNSを見てしまう。資料をきちんと仕上げようと思えば思うほど、最初の一歩が重くなる。

 先延ばしをすると、「自分は意志が弱い」と考えがちです。

 ところが、認知科学やコーチングの知見をもとに「瞬動力」を提唱している名郷根修さんは、先延ばしを単純な意志の問題として捉えていません。

 失敗したくない。完璧にやらなければいけない。そんなプレッシャーが大きくなればなるほど、行動を始めるハードルも上がってしまう。

 私の「1分朝活」に来ていただいた名郷根さんが強調していたのは、

「やる気が出たから行動するのではない。行動するから、やる気が生まれる」

 という順番でした。

「今やると、一番ホッとすることは何か」

 私が特にいいと思ったのが、「瞬動力ジャーナリング」という方法です。

 まず、頭の中でモヤモヤしていることを、全部書き出します。

 返信していないメール。提出していない資料。決めていない予定。電話しなければいけない相手。

 その中から、一つだけ選ぶ。

 基準は、

「今やると、一番ホッとすることは何か」

 です。

 そして、それを5分でできる行動にします。

「企画書を完成させる」では大きすぎるなら、「企画書のタイトルだけ書く」でいい。「運動する」ではなく、「運動靴を履く」でいい。

 頭の中にある「未完了」を見える形にして、一つだけ終わらせる。その小さな一歩が、「今日も前に進めた」という感覚につながっていきます。

「運動する」ではなく、「運動靴を履く」

 先延ばししている仕事ほど、頭の中では巨大になっています。

「企画書を書く」
「プレゼンの準備をする」
「運動を始める」

 これでは、最初に何をすればいいのかわかりません。

 そこで名郷根さんが勧めるのが、「ベイビーステップ」です。

「運動する」なら、「運動靴を履く」。
「朝、すぐ起きる」なら、「足を布団の外に出す」。

 そこまで小さくする。

 さらに名郷根さんは、やろうと思ったら「5秒以内に体を動かす」と言います。考えている時間が長くなるほど、「今日は疲れているから」「明日からでもいいか」と、やらない理由をつくり始めるからです。

 これは面白いと思いました。

 私たちは大きなことをやろうとして動けなくなります。でも、「足を布団から出す」ことならできる。その小さな動きが、次の動きを連れてくるのです。

「すぐやる人」は、特別に意志が強いわけではない

 名郷根さん自身も、朝、白湯を飲み、瞑想し、朝日を浴び、ジャーナリングをするという習慣を続けているそうです。

 最初から大きなことをやる必要はありません。

 朝の散歩なら、いきなり10キロ走らなくていい。まず外に出る。家の周りを歩く。それができるようになったら、少し距離を延ばしていく。

「すぐやる人」と聞くと、行動力があって、いつもやる気に満ちている人を想像します。

 でも、むしろ逆なのかもしれません。

 やる気に頼らない。

 大きな目標のまま考えない。

 脳が「今日はやらなくてもいい理由」をつくり始める前に、とにかく5秒でできるところまで小さくして、体を動かしてしまう。

 その積み重ねが、「すぐやる人」をつくっていくのです。