ドイツ極右の新たな標的、創設100年のバウハウスドイツ北東部デッサウにあるモホリ・ナギ・ファイニンガー・ハウスは、バウハウス創設者バルター・グロピウスによって設計された

【デッサウ(ドイツ)】本来であれば、バルバラ・シュタイナー氏はバウハウスの100周年記念行事に取り組んでいるはずだった。バウハウスはこのドイツ北東部の小都市に開校した美術・デザイン学校で、後にナチスに閉鎖されたが、図らずもモダニズムの発祥地としての地位を確立した。

 しかし、バウハウス・デッサウ財団理事長を務めるオーストリア出身のシュタイナー氏は、100年前のファシズムとの対立を不気味なまでに想起させる、新たな文化戦争に直面している。

「バウハウスは常に政治論争の対象だった。冷戦時代でさえも」と、市の端にある国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されたバウハウスの建物内のオフィスで、シュタイナー氏は語った。「事態がさらにエスカレートするか、あるいは1932年のような結末になるかどうかは誰にも分からない」

 2年前、同校の理念や機能的なデザイン様式に対する政治的攻撃が始まった際、シュタイナー氏は驚きを隠せなかった。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、バウハウスが、祖国から乖離(かいり)し、そこに住む人々を疎外する根無し草のような「非人間的」な建築に着想を与えたと非難した。

 現在、緊張は一段と高まっている。デッサウが位置する人口230万人のザクセン・アンハルト州では9月6日に州議会選挙が行われる。世論調査によれば、AfDが絶対多数を獲得し州政府を掌握する可能性がある。

 実現すれば、第2次世界大戦後にドイツの州で極右政党が政権に就く初めてのケースとなる。また、AfDを連立相手として受け入れず政権から排除してきた全政党による13年来の非公式協定、ファイアウォール(防火壁)戦略の崩壊も意味する。

 AfDは、若くカリスマ性のある候補者の擁立に加え、数千人の移民の国外退去、「ジェンダー・イデオロギー」への対抗、新たな福祉給付の創設といったポピュリスト的な公約を掲げ、追随するライバル陣営に二桁の差をつけており、勝利はほぼ確実視されている。全国的にも同党は勢いを増しており、支持率調査でフリードリヒ・メルツ首相率いる保守政党「キリスト教民主同盟(CDU)」を抑えて首位に立っている。