FRB議長、利上げ示唆で高まる「据え置きハードル」Photo:Natalie Behring/gettyimages

【ジャクソンホール(米ワイオミング州)】米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長は、自身のインフレ抑制策を巡る懸念を一部払しょくしたものの、3週間後には一段と大きな試練を迎える可能性がある。FRBが利上げに踏み切れば、米中間選挙を数週間後に控えたホワイトハウスを激怒させる恐れがある。一方、金利を据え置けば、28日の当地での講演で静まったはずの懐疑論を再燃させかねない。

 先週末、米カンザスシティー地区連銀主催の年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)に出席するためワイオミング州グランドティトン国立公園に集まったFRB関係者らは、就任間もない新議長が経済見通しをどう読み解いているかについて、どこまで語るか確信が持てずにいた。ウォーシュ氏は前月の連邦公開市場委員会(FOMC)後 、FRBの現在の政策スタンスがどのようにインフレを抑えるのかを説明しなかったとして、複数の会議参加者を含む関係者から批判を浴びていた。

 同氏は28日、より詳細な説明を展開した。ウォーシュ氏の講演の中でも特に二つの指摘が、来月の利上げを示唆するものと受け止められており、市場関係者は現在、利上げの可能性の方が高まったとみている。一つは、ウォーシュ氏が現在の金融環境を「引き締め的」とは言い難いと述べた点だ。

 もう一つは、同氏が今夏のインフレ指標の改善を見ても、基調的な動向が改善しているとは確信できていない点だ。金利は借り入れコストを高めることでインフレを抑えるはずのものだ。借り入れコストが高くなく、インフレも低下していないのであれば、金利設定は十分に高くなっていないことになる。

 28日以前のFRBの姿勢は、「データが利上げの根拠を示さない限り据え置き」というのがデフォルトだった。ウォーシュ氏の講演はこの前提を逆転させたと、FRB元副議長のドナルド・コーン氏は述べた。「同氏は前提を、データが不要だと示さない限り利上げする、という方向に変えた」とコーン氏は語り、ジャクソンホール会議に参加した他の関係者からも同様の見解が聞かれた。