家事も育児も分担し、対等な関係を築いているはずなのに、なぜか家庭内の会話は減り、些細なことで相手に苛立ってしまう夫婦は少なくない。その原因は性格の不一致ではなく、男女それぞれの体内で働くホルモンのバランスが崩れていることにあるのかもしれない。男女平等が進んだ北欧の事例をもとに、すれ違いを防ぎ、家庭で心地よく過ごすための具体的な方法を、『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』から紹介する。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
家庭の会話が減る理由
仕事から帰ってきた妻は、その日の出来事をほとんど話さない。逆に夫のほうが職場の愚痴を長々と語り、妻はそれを聞き流している。そんな光景に心当たりのある人は多いのではないだろうか。
こうした「男女逆転」は、いまや珍しくない夫婦のかたちになっている。世界的ベストセラー『ベスト・パートナーになるために』の著者として知られるカウンセラーのジョン・グレイ氏は、『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』のなかで、この傾向が過去25年で強まってきたと指摘している。
鍵を握るのはホルモンだ。本書によれば、男性は男性ホルモンであるテストステロン、女性は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌によってストレスを和らげており、そのバランスが崩れると、相手への関心そのものが薄れてしまうという。
ストレス解消法が真逆のわけ
本書には、日中に男性的な働き方をしている女性ほど、家庭では口数が少なくなりやすいと書かれている。だがそこで黙り込まず、話を聞いてもらうことが回復につながるのだという。
一方、男性は逆だ。著者は、女性的な傾向が強い男性は職場でも家庭でもおしゃべりになり、気持ちを言葉にすることを優先しがちだが、それは男性にとって効果的な解消法ではないと述べる。
男性にとっては、自分が話す時間を減らして相手の話に耳を傾けるほうが、効果的なストレス解消法になる。
つまり、同じ「会話」でも、女性は話すことで、男性は聞くことで整う。この非対称性を知らないまま互いに話し続ければ、二人とも消耗するばかりだろう。
ノルウェーの逆説
ここで興味深いのが、世界でもっとも男女平等が進んだ国の一つとされるノルウェーの状況だ。本書によれば、この国の離婚率は44パーセント、隣国スウェーデンは47パーセントと、世界でもトップクラスにある。
しかも、職業選択の自由が広いにもかかわらず、教員や看護の仕事には女性が、建設や技術の仕事には男性が多く集まる。
本書では、これが「ノルウェー・パラドックス」と呼ばれる現象として紹介されている。家庭で男らしさや女らしさを表に出しにくいぶん、外の仕事でバランスをとろうとしている、というのが著者の見方だ。
違いを認めるという平等
では、どうすればいいのか。著者が示すのは、役割を元に戻すことではなく、違いを前提にして支え合うという考え方である。
実践は難しくないだろう。妻が話し始めたら解決策を出さずに最後まで聞く、夫は帰宅後に少しの間、一人になる時間をとる。
それだけでも、本当に必要な相手への支えは形になるはずだ。相手を自分と同じ生き物だと思わないことが、かえって二人の距離を縮めてくれるのかもしれない。




