人件費は「コスト」ではなく
人への「投資」と考える
チェーン店経営で今、一番大事なものは何かと聞かれたら、私は迷わず「人」だと答えます。
人手不足が大きな社会問題となっている今、どの業界も優秀な人材を採用し、育て、辞めさせないことに必死です。飲食業は人がいなければ店は回りません。人手不足は、そのまま業績に直結します。
だから私は、人件費はコストではなく投資だと思っています。
機械に投資して人を減らすという考え方もあります。自動精算機や配膳ロボットを導入し、省人化を進める飲食店も増えています。しかし、ゆで太郎は今のところ、そこへ極端に舵を切るつもりはありません。
そもそも、人がいなければ店は出せません。営業時間も維持できません。店をつくってから人を探すのでは遅いのです。逆に言えば、人さえ育てれば店は増やせます。だから「人に投資する」という考え方は、これからも変わらないでしょう。
現在、ゆで太郎が比較的安定して営業時間を維持できているのも、人材を確保できているからです。24時間営業を売りにしていた牛丼チェーンでも営業時間を短縮する店舗が増え、小諸そばさんも閉店時間を早めたり、土曜日の営業時間を短縮したり、日曜日を休業にしたりしています。
近隣店舗の営業時間が短くなると、うちの売り上げが伸びることがあります。東京・赤羽橋店では、夜9時台から急に売り上げが伸びた時期がありました。理由を調べると、近くの小諸そばさんがその時間に閉店するようになったからでした。
人材がいるからこそ
営業時間を守れる
営業時間を維持できること自体が、競争力になっているのです。スタッフが揃っていれば、1日の時間を無駄なく使えます。朝は朝そばのお客様を迎え、その後の比較的落ち着いた時間に野菜を切り、そばを打つなどの仕込みを行う。昼のピークを迎え、午後も売り上げを積み重ねる。土日には朝そばを目当てに遠方から来店されるお客様もいます。
『ゆで太郎の儲かる仕組み 22年連続黒字を支えるがっちり経営術』(池田智昭 ワニブックス)
1日を通して店を動かせること。それが売り上げにも、お客様の満足にもつながっています。
もちろん、全員が長く残るわけではありません。大学へ進学するため退職した社員もいました。会社としては惜しい人材ですが、私はそういう挑戦を応援したいと思っています。
ゆで太郎で働いた経験が、その人の人生を少しでも豊かにできるなら、それも会社の役割だからです。
人手不足だから外国人を採用する。それだけでは長く続きません。国籍ではなく、1人の社員として育て、活躍してもらう。その積み重ねが、会社の未来をつくっていくのだと思います。







