ゆで太郎の店舗看板Photo:PIXTA

「人手不足だから外国人を採る」――そんな発想だけでは、社員は長く定着しない。全国200店舗超を展開する「ゆで太郎」は、外国籍社員の採用だけでなく、資格取得の勉強時間まで会社が確保し、店長やマネージャーへと育てている。人件費を「コスト」ではなく「投資」と捉える、ゆで太郎独自の人材戦略とは。※本稿は、株式会社ゆで太郎システム代表取締役の池田智昭『ゆで太郎の儲かる仕組み 22年連続黒字を支えるがっちり経営術』(ワニブックス)の一部を抜粋・編集したものです。

外国人採用のきっかけは
3人の新聞奨学生

 ゆで太郎には多くの外国籍の社員が働いています。

 きっかけは、ミャンマーから来た新聞奨学生でした。クーデターの影響で帰国できなくなり、学校を卒業しても働き先がない。困った関係者から「池田さん、3人面倒見てくれませんか」と頼まれ、引き受けたのが始まりです。

 彼らを配属してからしばらくして、現場に「彼らはどう?」と聞いたら、「めちゃめちゃいい」という答えが返ってきました。彼らは本当に真面目でよく働いてくれました。彼らの勤勉さが、外国人採用に積極的に取り組むきっかけになります。

 その後、制度改正も追い風となり、ベトナムをはじめ各国から人材を採用するようになります。

 もちろん、人を採るだけでは意味がありません。

 私たちは、日本語能力の高い人材を採用し、教育にも投資しています。1人当たり80万円ほどの採用コストをかけていますが、5年以上働いてくれれば十分に回収できます。長い目で見れば安い投資です。

 熟練した技能を持つ外国人が取得できる在留資格「特定技能2号」を取得すれば、さらに長期間働くことができます。

 現在、外国籍の店長は12人、マネージャーが1人います。名古屋のネパール人マネージャーは入社6年目で、まだ30代。日本の大学を出て、日本語能力試験の最高レベル・N1を持っている優秀な人材です。また、特定活動46号という、配偶者や子供の帯同まで可能な資格を持つ社員も3人います。これは技人国(大卒程度の専門知識を要する業務──エンジニアや企画、貿易事務、通訳など──に従事する外国人に付与される就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の略称)よりもさらに上の位置づけです。

勉強時間を確保するため
あえて残業時間を制限

 日本で長く働ける資格取得を支援するため、eラーニングや模擬試験を整備し、先輩社員が後輩を教える仕組みもつくりました。

 勉強時間を確保してほしいという思いから、外国籍社員の残業時間には上限を設けています。

 アンケートでは「もっと残業させてほしい」「深夜に働きたい」という声も出ますが、勉強時間を確保することを優先しています。目先の残業代より、将来のキャリアを優先したいのです。

 待遇も日本人社員と変わりません。店長やマネージャーとして活躍する外国籍社員も増えています。国が違えば、お金の使い方も人生設計も違います。

 出身国によって、お金の使い方や将来の考え方が違うのは面白いですね。ミャンマー出身の社員は、稼いだお金を実家に送ると、お寺への寄付に使われてしまうことが多いそうです。現地の平均年収の何倍もの額を一度に寄付してしまうこともあると。それは長い目で見て家族のためにならない、ということで、自分で貯めるようにしたという者もいます。ベトナムの人は、円安について率直に文句を言ってきます(笑)。

 ただ、それは飲みに行って話せる関係性があるから。地方に視察に行った時は、その地域で働いている外国籍の子たちを集めて、一緒に飲むこともあります。

図 外国人社員との交流も積極的にとる。外国人社員との交流も積極的にとる。 同書より転載