この南アジアの群島には、白い砂浜、ターコイズブルーの海、隠れ家的な高級リゾートを目当てに毎年数百万人の観光客が訪れる。しかし、絵はがきのように美しい景色の裏で、ひっそりと新たな取引が生まれている。そこにあるのは、ロシアの制裁逃れを助ける企業ネットワークだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した文書や欧米当局者への取材によると、規制対象あるいは制裁対象の企業に対する数億ドル相当の物品が空港で取引されてきた。物品の一部は軍民両用(デュアルユース)に該当する。空港の貨物エリアは航空機部品や電子部品など規制対象品で占められていることが多いという。モルディブを経由する物品は、中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)といった、ロシアが制裁を逃れるために利用する最大の輸送ルート(年間約150億ドル相当のロシア向け規制対象品を扱う)と比べれば比較的少ない。しかしこれまで報じられてこなかったモルディブ経由の物品の流れは、ロシアが西側の規制を回避しようとする取り組みがどれほど広範囲に渡っているかを示している。世界の小さな、そして予想外の場所さえも物品の輸送ルートに変えている。