厳罰だけで再犯は防げない

 もちろん、虐待や差別の過去があるからといって、誰かを傷つけたり犯罪行為を犯したりしていいことにはならない。そのような環境で育ちながら非行に走らない人はいくらでもいる。

 ただ、大人になる過程において、自分がどのように育ってきたのかを振り返り、自分を知ることは絶対的に必要だ。

 これは失礼な感想かもしれないが、登場するメンバーの多くは、まだ大人になりきれていない子どものように見えた。子どもの頃の傷を抱えたまま体が成長してしまったように見えたのだ。メンバーによってはその傷があることも自覚していないように見えた。

 AC(アダルトチルドレン)といった言葉が適当なのかもしれないが筆者は専門家ではないので、断定は避ける。ただ、暴力が日常茶飯事の中で育った子どもが、その環境を断ち切るのは難しい場合も多い。DVをする相手とばかり交際してしまうとか、暴力的な組織に取り込まれてしまう、というのもその一つだ。

 生まれた場所は違えど、似た環境で育ったメンバーたちと腹を割って話すことで、自分の成長過程を濃く振り返ったメンバーもいるはずだ。番組としてはおそらく、こういった振り返りや、お互いの傷を知ることでの関係修復のシーンを見せたかったのだろう。それがうまく視聴者に伝わったのかどうかの評価は置く。

 法に触れた犯罪者には刑罰が科せられる。ただ厳罰だけでは再犯を防ぐことができないから更生保護が必要とされる。未成年者であればなおさらである。未成年が罪を犯すのは環境にも理由があり、より良い環境と成長の機会を保障することで次の被害者を防ぐという考え方だ。

 しかし加害者の厳罰に賛同する人は多くとも、更生保護にいら立ちを覚える人は少なからずいる。悪いことをしたヤツらを、なぜ甘やかすのかという意見である。法務省のタイアップ中止からは、後者の意見が勝ったように感じられた。

法務省タイアップ中止の是非

 今回の法務省が出した声明には、以下のような内容が含まれている。