教室で頭を抱えてうつむく女子生徒写真はイメージです Photo:PIXTA

子どもがリストカットをしていると知ったら、親は「もう絶対にやめて」と言いたくなるだろう。傷を見れば驚き、「なぜこんなことをしたのか」と問いただしたくなるのも無理はない。だが、自傷行為を「死にたいから」「気を引きたいから」と決めつけてしまうと、子どもが抱えている本当の苦しさを見落とすことがある。では、親はどう受け止め、何と声をかければいいのか。精神科医の松本俊彦氏が、自傷行為をめぐる誤解と、親が知っておきたい向き合い方を解説する。※本稿は、精神科医の松本俊彦監修『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

中学生の自傷行為の報告は
14年の間に倍増している

 リストカットをはじめとする自傷行為は、大人が思う以上に子どもたちの間に浸透しています。全国の公立小中学校・高校への調査で、保健室の先生たちが過去1年間に把握した内容が報告されていますが、その中に「リストカット等の自傷行為に関する問題」も含まれています。2022年には、高校生について1000人中3.5人、中学生について1000人中7.4人の割合で報告されています。特に中学生の増加が目立っていて、2008年時(3.7人)の2倍に増加しています(※日本学校保健会「保健室利用状況に関する調査報告書」平成18年度調査結果および令和4年度調査結果)。全国の生徒数を念頭に置くと、非常に多くの子どもたちがリストカットを経験していると言えそうです。

 リストカットを自殺未遂と混同している人も少なくありませんが、この2つは違います。日本の場合、自殺の手段として多いのは首つりです。刃物を使って自殺する人は非常に少なく、あきらかに自傷の目的が自殺ではないことを示しています。