古市憲寿氏古市憲寿氏 (c)seiji shibuya

「コミュ力が高い人」とは、必ずしも話し上手な人ではない。社会学者の古市憲寿氏は、よどみなく話す力や「陽キャ」的な振る舞いよりも、人間関係で重要なのは「聞く力」だと説く。自身も早口で滑舌が悪いという古市氏が、誰でも実践できる会話のコツを紹介する。※本稿は、社会学者の古市憲寿『コミュ力不要の社交術』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

「コミュ障」でも
ちゃんと社交はできる

 よく勘違いされますが、「コミュニケーション能力が高い」というのは、よどみなく、自信満々に話すということではありません。いわゆる「陽キャ」とも違います。

「コミュ力」の話をする時、いつも大学の入学式のことを思い出します。OB代表として呼ばれた男性が、流暢なスピーチをしていました。そうか、大人はこんな風によどみなく話せるんだと感銘を受けました。

 だけど今となっては流暢であったこと以外、内容を何一つ思い出すことができません。

 僕は仕事柄、たくさんの小説家や漫画家の方に会ってきました。

 断言できるのは、書くものが面白い人は、話しても面白いということ。

 これは話術という意味ではありません。人前に立つことを仕事にしていないから、ボソボソと話す人もいれば、挙動不審な人もいる。

 でもじっくり話を聞いていくと、みんなとんでもなく面白い人ばかりです。

 売れっ子の作家は、世界を独自の視点で見ています。世界に対する「問い」があると言い換えてもいいかも知れません。

 ヒットメーカーというのは大衆に受け入れられているということ。

 だから当然、常識的な目線も持っています。