ここでビールはただの飲み物ではない。伝統であり、アイデンティティーだ。さらに一部の人にとっては、独占禁止法違反を追及する根拠でもある。独バイエルン州の州都ミュンヘンで開催されるビールの祭典「オクトーバーフェスト」では、何世代にもわたって同じビールメーカーがビールを提供している。主催者はイベントの純度を保つためと説明するが、批判派は完全なカルテルだと主張している。誰がビールを販売できるか、テントを運営できるかなど業者の参加を巡り、対決が避けられない情勢になりつつある。「これはミュンヘンで起きうる最も困難な戦いだ」。2006年にガレージでビール醸造所、ギージンガー・ブロイを創業して以来、オクトーバーフェストで自社製ビールを販売することを夢見てきたシュテファン・マルクス氏はそう話した。マルクス氏は、自身が来年のオクトーバーフェストに参加できるかどうかを左右する市全体の住民投票の実施に必要な3万5000の署名のうち、これまでに2万1000を集めた。