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「自分が書いたコードだから、転職先でも使っていい」――そんなエンジニアの思い込みが、思わぬトラブルを招くことがある。社内ソフトを自宅PCにコピーしたり、ポートフォリオ用に保存したりする行為も、場合によっては著作権侵害に問われかねない。なぜ「自分で作った」のに自由に使えないのか。退職・転職時ほど注意したい、コードと著作権の落とし穴を見ていく。※本稿は、元警察警部補の森 雅人著、弁護士の足立直矢監修『これだけで、逮捕「知らなかった」では済まされない29の落とし穴』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
自分で書いたコードなら
権利も自分のもの?
中堅企業に勤めていたシステム担当の社員は、業務効率化のために社内で使われている、管理用ソフトの開発に関わっていた。このソフトは会社が業務用として独自に開発したもので、外部への提供や私的利用は禁止されていた。
ある日、本人は副業や転職後の仕事に役立てようと、社内サーバに保存されていたプログラムのソースコードを無断でコピーし、自宅のパソコンに保存。さらに一部を改変し、個人の業務で使用していたことが判明した。
会社側が内部調査を行ったところ、アクセスログや持ち出しの痕跡が確認され、無断複製と使用の事実が明らかとなった。最終的に、当該ソフトは会社に帰属する「著作物」と認定され、無断コピーおよび使用は著作権法違反に当たるとして、社員は書類送検された。
この手の事件で話を聞くと、「自分が作ったプログラムなんです」という言葉をよく聞きます。その気持ちは理解できます。何カ月もかけて作った。何度も修正した。トラブルがあれば夜中でも対応した。誰よりもそのソフトを知っている。だから、本人の感覚としては、「会社の物」というより、「自分が作った物」に近いのでしょう。
しかし、そこには大きな落とし穴があります。
会社で働く以上、業務時間に対価(お給料)をもらいながら作ったソフトは、会社の物です。そのため、勝手に持ち出したりコピーをしたりすれば、罪に問われます。
窃盗事件なら、人の財布を奪うことは犯罪だ、と誰でもわかります。しかし、ソフトウェアやデータには実体がありません。さらに、コピーをしても原本が残ります。そのため、罪の意識が生まれにくいのです。
法律は、コピーできることと、コピーしてよいことを別に考えます。その認識のズレが、事件につながります。
無断コピーだけでも
著作権法違反になり得る
この手の事件で問題になるのは、著作権法違反です。
多くの人は、「音楽」「映画」「漫画」には著作権があると知っています。しかし実は、プログラムにもあるのです。ソースコードも設計も、法律によって保護されています。
ここで重要なのが、「誰が作ったか」と「誰が権利を持っているか」は別という点です。
業務として開発されたソフトウェアは、原則として会社に著作権が帰属します。勤務時間中に、会社の指示で、会社の設備を使って作ったのであれば、自分が書いたコードであっても会社の著作物になるのです。







