では反対に、仕事がうまくいっているときには報告がなされやすいかというと、これもそれほどではありません。

「うまくいっている」と報告すると、確かに上司はいったん喜びますが、すぐに次のもっと難しい仕事を割り当ててきます。時には、うまくいっていない同僚の仕事のしわ寄せが来てしまいます。これでは、報告しないでしばらくどこかでダラダラと休んでいるのが賢明です(注2)。

 このように報告したくない状況であるうえに、「報告書を出しなさい」と言われると、面倒でますます報告が滞ります。さらに報告書を書く間、それまでの作業が止まってしまいます。ただでさえ遅れている作業が、報告書を書くことでさらに遅れるという悪循環に陥るのです。

進捗を可視化することで
報告作業自体を減らそう

『科学が解明した 悩んでもしょうがないことリスト』書影『科学が解明した 悩んでもしょうがないことリスト』(石川幹人、サンマーク出版)

 この問題の解消にも、情報技術の応用が期待できます。報告や連絡はもはや必要ありません。それらは日々の作業の進捗がアプリで可視化されていて、チームメンバーが共有できるからです。昨今のデジタル化でそうなりつつあります。

 やがて上司の役割は、「相談」のみが残るにちがいありません。それも、部下から上司に相談するのではなく、部下の状況を上司が理解しているため、上司から「何か相談はないかね」と御用聞きをする形です。

 アプリで部下の作業状況が把握できている上司であれば、すぐに問題の核心を理解できて、的確な助言ができることでしょう。

 すなわち、上司への報告が遅れるのは、あなたのせいではありません。報告が必要でない仕組みが、あなたの職場でまだ整っていないからです。

注2 成果に応じて報酬が支払われていれば、この問題は避けられます。しかし、成果報酬制度の場合、適切な成果評価が難しいという別の問題が発生します。