「正論だけどウザイ人」のノンデリ発言がグサッとくる【マンガ】『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営を解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第82回では、経営における2種類の意思決定について解説する。

大株主が拍手で歓迎した、外資系ファンドの提案

 新興アパレル・T-BOXの臨時株主総会は、同社の買収を画策する外資系ファンド・サンデーキャピタルの思惑で、波乱の幕開けとなった。

 サンデーキャピタルの福沢ウイリアム太郎は、取締役会で決議された創業社長・花岡拳の解任動議を支持すると発言。さらには自分たち外資の力が入ることにより、海外進出や積極投資が実現するにも関わらず、花岡は危機感を持たずに、経営に何も手を打たないと批判を続ける。

「我々は失望した。出資者である我々の期待に対する裏切り…あなたも、典型的日本型経営者の一人に過ぎなかった。結局は…何も決められない」

「あなた方は何も決められないし…そもそも決める能力も勇気もないんだから!」

 福沢はオブラートなしのトゲトゲしい「正論」で、花岡をねじ伏せようと息巻く。

 そんな福沢の発言に、大株主の「会長」こと塚原為ノ介が拍手を送る。すると周囲の株主も次々に同調して拍手し、花岡らに「社長、決断をしろ!」「役員達ももっとしっかりしろ!!」とヤジを浴びせるのだった。

アマゾン創業者が語った「2種類の意思決定」とは

漫画マネーの拳 10巻P29『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク

 花岡をバッサリと切り捨てる福沢。たしかに変化の速いビジネスの世界においては、意思決定のスピードの遅さが致命傷になることがある。しかし、すべての決断を素早く下せばいいというわけではない。

 Amazon創業者のジェフ・ベゾスはかつて、意思決定を2種類に分けて考える方法を示した。ひとつは、いったん決めれば簡単には元に戻せない「タイプ1」の意思決定。もうひとつは、間違えてもやり直すことができる「タイプ2」の意思決定だ。

 タイプ1は、いわば「一方通行」。例えば大きな投資は、一度進んでしまえば、そのまま戻ることは難しい。だからこそ、時間をかけて慎重に検討する必要がある。

 だがタイプ2は「双方向」。もし行ってみてダメなら戻ってくればいい。そんな意思決定に時間をかけていては、組織の動きは鈍くなる。

 やり直せる判断であれば、完璧な情報や条件がそろうのを待たずに決めればいい。ベゾスは株主向けに、多くの意思決定は、必要な情報の7割程度がそろった段階で行い、それが間違っていれば素早く軌道修正を示すべきだという考えを示した。

 経営者に求められるのは「何でもすぐに決めること」ではない。どの決断なら容易にやり直せるのか、そしてどの決断が会社の将来を大きく左右するのかを見極めるのかということだ。

 経営者としての意思決定について、散々に批判された花岡。福沢から反論を求められて、意外な行動に出るのだった。

漫画マネーの拳 10巻P30、31『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
漫画マネーの拳 10巻P32『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク