また自己啓発本の中には『成功したければ○○をしろ』とか『人は○○が9割』的なもの、あるいは『人生を変える毎朝5分の習慣』といった類いの、小手先のノウハウを謳ったものが少なくないところも、求道的な傾向の強い日本人読者からは反感を買うところなのかもしれません。
自己啓発本に対する批判・反感の多さを示す実例としては、「アンチ本」の存在があります。事実、今、日本で出ている自己啓発本についての解説書のほとんどが、批判的観点からのものであると言っていい。
特に2010年代以降の解説書にはその類いが多くて、たとえば宮崎学さんの『「自己啓発病」社会』や谷本真由美さんの『キャリアポルノは人生の無駄だ』、神戸郁人さんの『うさんくさい「啓発」の言葉』などがその例ですが、自己啓発本を「病」や「ポルノ」に譬え、「うさんくさい」と断じているところからして、これらの解説書が自己啓発本に対する批判の書であることが明らかに見てとれます。
またレジーさんが書かれた『ファスト教養』という本、これは非常に優れた解説書で、その鋭い分析には私も何度となく膝を打ちましたが、自己啓発本を「ファストフード」に譬えているところからして、基本的に「おいしくてクセになるかもしれないけれど、本物の栄養にはならない」ものとして、自己啓発本の底の浅さを批判的に見ておられることは確かなところでしょう。
さらに牧野智和さんが書かれた『自己啓発の時代』と『日常に侵入する自己啓発』の2著は、日本の自己啓発本/思想についての研究書として力作ではありますが、これらもまた「なぜこのようなものが日本社会にはびこるようになったのか」という社会学的観点から自己啓発本の在り様を批判的に分析する本になっている。
私のように「自己啓発本って素晴らしい!」とシンプルに思っている人間としては、アンチ本に充満する自己啓発本への痛烈な批判を読む度に、何だか自分自身が批判されているような気がしてきて、悲しい気持ちにさせられます。







