2026年9月4日、米ワシントンのホワイトハウス大統領執務室で、食肉加工の拡充策について発表を行うドナルド・トランプ米大統領 Photo:EPA=JIJI
トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩総書記について「彼は57発の非常に強力な核兵器を持っている」と述べたのは失言ではなく、決定的な政治的シグナルだと佐藤氏は言います。米朝首脳会談が実現する際の最大の懸念とは――。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)
トランプ政権の
北朝鮮へのメッセージ
米朝首脳会談が、近く実現するかもしれません。韓国の国家情報院(国情院)が、「いつでも可能だとみるべきだ」と国会に報告したのは、9月1日のことです。
〈非公開の委員会に出席した議員らが明らかにした。議員らによると、国情院はトランプ氏が意欲を示す米朝首脳会談について、米朝間の具体的な接触は確認されていないものの、「対話の兆候はある」と説明したという〉(同日「朝日新聞」デジタル版)
国情院は、政治的な環境は整いつつあるとみているのです。
8月17日から27日まで、米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」が行われる予定でした。ところがトランプ米大統領が大幅な短縮を指示したため、21日に終了しました。トランプ氏は、演習には費用がかかるだけでなく、北朝鮮に対して「まったく不必要な敵対的シグナル」(8月17日・ロシアのインターファクス通信)を送っているとの認識を示したとのことです。
これは、北朝鮮の金正恩総書記に対する政治的な呼びかけです。北朝鮮は長年、米韓合同軍事演習を米国の敵視政策の象徴として批判してきました。その演習を短縮させたのは、「対話に応じるなら、北朝鮮が脅威と受け止める軍事的圧力についても調整する余地がある」というメッセージです。金正恩氏を交渉のテーブルに引き出すためだといえます。
一方、米日韓の共同訓練「フリーダムエッジ」は、9月7日から11日に予定通り実施されました。北朝鮮などの核ミサイルの脅威を念頭に、3カ国のイージス艦による海上ミサイル防衛を中心に、東シナ海などで海、空、サイバー領域にまたがって行われる訓練です。昨年と同じ5日間の日程でした。







