2026年8月21日、ロシア・モスクワのクレムリンで、安全保障会議のメンバーとの会合を開くロシアのウラジーミル・プーチン大統領 Photo:SPUTNIK/JIJI
ロシアのプーチン大統領が、8月13日に北方領土の択捉島を訪れました。日本の外務省の反応は、「外交ルートを通じて厳重に抗議した」という定型的な態度にとどまりました。これにロシアは強く反発し、武藤顕駐ロシア日本大使のロシア外務省への呼び出しと日本政府に対する強い批判を行いましたが、直後に対日報道が縮小します。その理由とは――。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
択捉島を訪問した
プーチン大統領
ロシアのプーチン大統領が、8月13日に北方領土の択捉島を訪れました。その前日には13年ぶりにサハリン州を訪問し、親衛ミサイル巡洋艦ワリャーグの艦上から、太平洋艦隊の演習を視察しました。そして、次のように述べました。
〈われわれは日本を脅かしておらず、日本に対して何の要求もない。反対に、クリル諸島を巡り領土要求をしているのは日本側である〉(8月12日・ロシア大統領府HP)
日本の対ロ制裁や安全保障政策を批判しながら、こう述べたことには、対日関係を断絶する意図はないというメッセージが含まれています。
13日の択捉島訪問は、そのメッセージを行動に移して日本政府の反応を確かめるための、政治的な行為でした。日本が領土要求と対ロ制裁を続けるなら、ロシアも択捉島を自国の領土として統治している現実を見せつけよう、というわけです。
水産加工場で
イクラを試食した意味
プーチン氏が択捉島で、非軍事部門を中心に視察した点にも注目すべきです。水産加工場ではマグロやオヒョウを見ながら説明を受け、イクラを試食しました。択捉島がロシア国内の行政・経済空間であり、住民が日常生活を送っている場所だという既成事実を、内外に示したのです。
プーチン氏は、北方領土における軍事の主権と行政の主権を、2日連続の行動で可視化させたといえます。







