スマホは新たな「たばこ」、禁止する米レストランPHOTO: ELIZABETH ARVELOS COETZEE/ALEXANDRA CITRIN-SAFADI/WSJ

 米国のレストランやバーでたばこの火が揺らめいていたのは、それほど昔のことではない。そんな時代は終わったが、客の手元から明かりが消えたわけではない。今はスマートフォン(スマホ)の有機ELがまぶしいほどに輝いている。

 筆者が7年間バーテンダーをしていた時、まず登場したのはブラックベリーで、その後iPhone(アイフォーン)が誕生した。当時は電話でじゃまされることはあっても時々で、片手で数えられる程だった。客が電話に出るのはたいてい、「後でかけ直す」と言うためだった。

 今はスマホがナプキンやカトラリーと同じくらい当たり前のようにテーブルの上に置かれている。メッセージやSNSを確認するために自分でスマホを取り出していなくても、他の客がインスタグラムに上げる動画を撮ったりフェイスタイムで通話をしたりしている背景におそらく映り込んでいるだろう。

 皆が等しく権利を有する共用の空間を、食べながらTikTok(ティックトック)を見る場所に変えてしまったこの流れに、多くのレストランや客が抵抗している。その実践例と、そこから学べることを紹介する。

スマホを封印

 ノースカロライナ州シャーロットにあるカクテルバー「アンタゴニスト(敵対者)」は、スマホに対してかなり敵対的だ。客は入店すると、施錠できるヨンドル社のポーチを渡される。一部の学校は、これに生徒のスマホを入れさせている。ここでは解錠できるのは店員だけだ。

「われわれのコンセプトの一番の目的は、誰かに負担をかけたり、所有物を取り上げたりすることでは決してない」。アンタゴニストのゼネラルマネジャー、アダム・ホーナー氏はこう語る。「根本にあるのは、テクノロジーによって失われたと誰もが感じている、人とのつながりを少々取り戻そう、ということだ」