完璧を求めて妥協ができない。中途半端なものを出して「できない奴だ」と思われたくない。「先のばし」や「完璧主義」を脱するための方法を、『おい、とりあえず終わらせろ』を書いたエンジニアのnwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

通知は他人の優先順位

 せっかく仕事を始めたのに、途中で集中力がなくなってしまう。

 最後まで終わらせることができない。

 そんなときは、「通知」を切ってください。

 なぜなら、通知は他人の優先順位だからです。

 通知に即レスする人は、無意識に「他人の期待に100点で応えること」を優先しています。

 結果、自分のタスクは0点になる。

 他人への応答品質を完璧にしようとして、自分の完了を犠牲にする。これは「完璧主義」の変形でもあります。

一瞬の反応に対して、復帰コストが大きすぎる

 ある日、通知に反応した回数を正の字で記録したら、午前中だけで17回でした。

 コミュニケーションツールを作る企業は、注意を奪うためにあらゆる手段を使ってきます。通知はその最たるもの。

 優秀なエンジニアたちが、人の気を散らすために全力で働いている。そして、見事に成功している。

 問題は作業が途切れることではなく、復帰コストなんです。

 チャットの通知を見る。元の作業に戻ろうとする。「さっきどこまで書いたっけ」。思い出すのに数分かかる。

 思い出しても、さっきの没頭状態には戻りにくい。

 私の実感では、一度切れた集中を取り戻すのに20分前後かかることも珍しくありません。

 最初は「重要な連絡を見逃したら」と不安になるかもしれない。でも私のチームでは、30分後に確認すればほとんどの場合は事足りました。本当に緊急なら電話が鳴る。

「どうせ何をやっても変わらない」という冷笑は完璧主義の変形

 通知を切れば、外からの邪魔は減る。でも、内側からの邪魔もあるかもしれません。

 それは、「やるべきことが多すぎて、どれから手をつけていいかわからない」という状態です。

 あるプロジェクトで、システム全体の改善を任されたことがありました。

 改善すべき点は100個以上見つかった。放置された設計上の問題、ドキュメントの不備、動作確認の不足、パフォーマンスの問題。見れば見るほど問題が見つかる。

 1週間、何も手をつけられませんでした。「この問題を直しても、あの問題が残っている」「根本から設計し直さないと意味がない」「自分ひとりでやっても、チーム全体が変わらなければ無駄だ」。そんなことを考えて。

 ある日、腹を決めました。今週は1個だけ直す。「この不具合の対処を修正する」、それだけ。

 他の99個は、見ないことにしました。

 3日後、その1個が直った。小さな達成感があった。翌週、また1個を選んだ。また直った。
 3か月後、気づけば30個の問題が解決していました。

「どうせ何をやっても変わらない」という冷笑は、完璧主義の変形です。

「全体を完璧に直せないなら、一部分を直しても意味がない」という論理が、冷笑の裏に隠れている。

 でもこの論理は間違っています。

 ある部分を直した経験が、次に直すべき部分を教えてくれるんですよ。全体像は、部分を直した結果としてしか見えない。

 だから、始めるときは意図的に視野を狭めるのです。今日やることはひとつだけ。世界のすべてに答えを出そうとしない。

 ひとつ終わったら、また視野を広げればいい。

 その積み重ねで、明日の自分が続きから始められる状態になっているはずだ。