せっかく採用した優秀な若手社員が、入社1~2年で次々と辞めていく。その原因を作っているのは、部下の感情的な「愚痴」に親身につきあい、手取り足取り指導している50代の優しい上司かもしれません。人間の意識構造と「ノイズ」の正体を理解していない関わりは、部下の成長を止め、離職を加速させます。この記事では、書籍『リーダーの仮面』のエッセンスをもとに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

若手の離職率を跳ね上げる50代の特徴とは?Photo: Adobe Stock

部下の「お悩み相談室」の愚かさ

 若手の離職率が高いチームの50代管理職が、良かれと思ってやっている最悪の行動があります。

「部下と毎週カフェで面談し、人間関係の悩みを聞いてあげている」
「手取り足取りプロセスの手本を見せ、愚痴に共感してあげている」

 一見、部下に寄り添う最高に優しい上司に見えます。

 しかし、これは上司自身の「頼られたい」という自尊心を満たしているだけの有害な関わりです。

 部下の感情的な愚痴に付き合い、手取り足取り教えることで、部下は「自分で考えて行動する負荷」から逃げ出すようになります。

部下の愚痴や感情的な「ノイズ」に付き合い、手取り足取り指導して頼られようとする上司は、部下の自律的な成長を殺しています。
感情的な寄り添いは、上司の承認欲求を満たすだけであり、部下にとっては依存を生む有害な関わりです。
感情をスルーし、事実と結果だけを淡々と確認する距離感こそが、部下を成長させ、離職を防ぎます。
――『パーフェクトな意思決定』より

過干渉が「成長」を削ぎ落とす

 今の若手社員が会社を辞める最大の理由は、「厳しさ」ではありません。

「この環境にいても成長できないという不安」です。

 上司が感情に寄り添い、手取り足取りプロセスに介入してくると、若手は自分が「子供扱い」されていると感じます。

 自分で試行錯誤して成果を出す経験が奪われるため、「この上司の下にいても社会で通用するスキルが身につかない」と見切りをつけます。

 優しさという名のお節介が、優秀な若手の成長意欲を削ぎ落とし、離職へと追い込んでいるのです。

点と点で管理せよ

 若手を急速に成長させ、離職を防ぐ上司の態度は至ってクールです。

 感情的な愚痴や感想レベルの悩みは受け流します。

「何を、いつまでに達成するか」という目標(点)だけを設定し、途中のやり方は部下に任せます。

 期限が来たら、できたか出来なかったかの事実(点)だけを確認します。

 リーダーの仮面をかぶり、プロとしての適度な距離感を保つこと。

 部下に自分で脳みそを使わせる環境を与えることこそが、若手を一人前に育て、チームに定着させる唯一の道なのです。