「悪い人ではないんだけど、なんとなく距離感が合わない」。そんな人はいないでしょうか。馴れ馴れしすぎたり、逆によそよそしかったり。その違和感の正体は、相手との関係に対する「認識のズレ」にあります。本記事では、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』の中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「青のり」を指摘できますか?
人間関係の距離感を考えるうえで、とてもわかりやすいものがあります。
それが「青のり」です。
「青のり」です。
目の前の人の歯に青のりがついているとき、それを指摘できるかどうか。
相手が取引先の担当者なら言わないかもしれません。
でも、仲の良い友だちや家族なら「歯に青のりついてるよ」と指摘できます。
やはり、人は相手によって、自然と態度を変えているということです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
たしかに、家族の歯に青のりがついていたら、
「青のりついてるよ」
と何も考えずに言えます。
でも、それが初対面の人だったらどうでしょう。
言うべきか。言わないべきか。
一瞬、迷います。
なぜなら、相手との距離によって「言っていいこと」が変わるからです。
同じ人でも「言っていいこと」は変わる
同じ相手でも、距離感が縮まれば、青のりを指摘することができます。
はじめてデートしたカップルは会話がぎこちない。
何を話したらいいかお互いに探り合っているからです。
たこ焼きを一緒に食べて青のりがついていたとしても、指摘するなんてできません。
言うべき言葉は「歯に青のりついてるね」ではなく、「おいしいね」です。
でも、付き合って数ヶ月から数年、結婚したりすると指摘できるようになるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
初デートで、「歯に青のりついてるよ」と言われたら、ちょっと恥ずかしいかもしれません。
ところが、付き合って数年経った相手なら、「ついてる?」「ついてる、ついてる」で終わります。
言っている内容はまったく同じ。
違うのは、2人のあいだにある距離です。
「距離感が合わない人」は何がズレている?
ここから、「距離感が合わない人」の正体も見えてきます。
こちらは「まだ初デートくらいの距離」だと思っている。
でも、相手は「もう付き合って数年くらいの距離」だと思っている。
すると、違和感が生まれます。
まだそれほど親しくないのに、プライベートなことをズケズケ聞いてくる。
いきなりタメ口になる。
こちらが話していないことにまで踏み込んでくる。
相手に悪気はないかもしれません。
ただ、「私たちはこれくらい親しい」という認識が、お互いにズレているのです。
逆もあります。
こちらはかなり仲良くなったと思っているのに、いつまでも他人行儀に接してくる。
これもまた、「距離感が合わない」と感じる原因になります。
ワースト1は「自分の距離感だけで話す」
人間関係には、「この関係なら、ここまで言っていい」という見えない境界線があります。
そして、その線は固定されているわけではありません。
出会ったばかりなのか。
何度も会っているのか。
仕事だけの関係なのか。
長年の友人なのか。
関係が変われば、言葉も変わります。
だから、「距離感が合わない」と思われやすい人の特徴・ワースト1は、相手との距離を確かめず、自分が感じている距離感だけで話してしまうことです。
「青のりついてるよ」と言える関係なのか。
それとも、まだ「おいしいね」と言うくらいの関係なのか。
コミュニケーションがうまい人は、無意識のうちにその距離を測りながら、言葉を選んでいるのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。




