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入居金6000万円に加え、毎月の利用料や生活費も数十万円かかる超高級老人ホーム。それでも、六本木の自宅を売って入居した82歳の男性は「決して高くない」と言い切る。そこで暮らす人々は、どんな思いでこの場所を選んだのか。実際に入居した著者が体験した、超高級老人ホームの日常とは。※本稿は、ライブハウス「ロフト」創業者の平野悠『超高級老人ホームに入ってみた』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
六本木の自宅を
売り払った長老
以前シャトルバスで話しかけた最上階の老人と、バーで再会する。
「お元気ですか?」
「うん、まあまあだね」
この最上階の億ションの老人は82歳、名前は「長老」としておこう。
「私はここに来て2カ月ですが、生活費が意外とかかりますね。約19万円の月額利用料と合わせると、それなりの額になります。最初に一時入居金を払っているのに……。あなたは奥様と2人ですから月額利用料も2人分、さらに2人目の『追加賃料』も約13万円かかる。一時入居金も私の倍でしょう。高いと思いませんか?」
「高くはないでしょう。うちは六本木の自宅を売り払ってきたので、スッキリしましたよ。特養とか安いところをご覧なさい。施設は古いし狭いし、職員は疲れている。人数も足りない。利用者もどんな身元の人が入ってくるかわからない。言い方は悪いが、あれでは姥捨山だよ」
「とてもそんなところでは暮らせないと?」
「あなただってそうでしょう。ここには私の望むものは全てある。ここで人生を終えられるのなら、決して高くない」
「お子さんたちはどうしているんですか?」
「きっと私が危なくなったら、ノコノコ来るんでしょうな。財産目当てで」
私の3人いる息子も「遠いから」という理由で、誰一人ここに来ていない。







