地元の人にとって
我々は異人種
「我々は好奇の目で見られてますよ」
隣に腰掛けていた男が割り込んできた。
「昨日、外の寿司屋で飲んだんですがね、地元の人がここの噂をしていた。『あんなところに高いマンション建てやがって。どんな人種がやってくるんだろうな?』って」
「おっと、私たちは異人種というわけですか」
「それはそうでしょう。こんな田舎の山の上に、いきなりバカでかいビルが建つんだから。それが老人ホームだったと聞けば、なおさらじゃないですか。『とても自分たちが近づける人種ではない』という口ぶりでしたよ」
たしかに私も、こんなところに入ってくる金持ちがどんな人種なのか、興味津々である。彼らの生態をレポートすることは、今の私に与えられた使命なのかもしれない。
それにしてもここの住人は、驚くほど世の中の出来事に疎い。新聞を取っていない、パソコンやゲームをやらない。携帯電話すら持っていない人が多い。ロビーに四大紙は置いてあるが、読まれている様子はない。
顔見知りになっても共通の話題がないので、天気の話か体のどこが調子悪いといった話で終わってしまう。最近、囲碁の相手が見つかったのは嬉しいが、話は弾まず、碁会所のような賑やかさもない。
老人ホームとはやはり、世間を卒業した人たちの住処なのか。
地元の漁師に
マグロをもらう
朝起きて、食事をしながらぼんやりと海を見ている。ソファに身を沈め、長編小説を読みながら、ぼんやり海を見ている。うたた寝をして、目を覚ましてもぼんやり海を見ている。
昼過ぎに天気が良いので、万歩計をつけて散歩に出かける。小湊と呼ばれる海沿いの区域には小さな漁港がたくさんあり、日蓮聖人ゆかりの誕生寺を目指して歩く。距離にして7~8キロ、2時間ほど歩くと、大体1万5000歩になる。帰りはバスに乗る。







